卵巣機能抑制+タモキシフェン療法を受けた閉経前の女性では乳癌再発リスクが低下
米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート
原文掲載日 :2014年12月11日
NCIから研究助成と支援を受けた臨床試験において、早期乳癌の手術後タモキシフェンの投与を受けた閉経前女性に対して卵巣機能抑制を行うことにより、乳癌再発率が減少したことが示された。SOFT試験(Suppression of Ovarian Function Trial)では、ホルモン受容体陽性乳癌女性における卵巣機能を抑制する方法として月1回のトリプトレリン注射、両側卵巣の外科的摘出、または卵巣への放射線照射を行った。ホルモン感受性乳癌の閉経前女性に対する標準的な術後ホルモン療法であるタモキシフェン単剤を5年投与する群、タモキシフェン投与と卵巣機能抑制を5年行う群、エキセメスタン投与と卵巣機能抑制を5年行う群とに無作為に割り付けた。エキセメスタンは、エストロゲンの生産に必要な酵素であるアロマターゼを阻害する新しいホルモン療法剤である。NCIから研究助成と支援を受けたThe International Breast Cancer Study Group (IBSCG)がランダム化第3相試験の結果を2014年12月11日、2014 San Antonio 乳癌シンポジウムで発表した。本試験の結果はthe New England Journal of Medicine誌電子版にも併せて発表された。
SOFT試験では、閉経前のホルモン受容体陽性早期乳癌女性で術後化学療法を受けた患者群と、受けていない患者群を母集団とした3つの療法群について調査が行われた。化学療法は早期閉経を引き起こす可能性があるが、化学療法後も月経が継続した女性のみを試験対象者とした。タモキシフェン+卵巣機能抑制群では、タモキシフェン単剤投与群と比較した場合、術後化学療法を受けた女性における乳癌再発の相対リスクが22%減少した。エキセメスタン+卵巣機能抑制群では、タモキシフェン単剤投与群と比較した場合、術後化学療法を受けた患者における乳癌再発の相対リスクが35%減少した。卵巣機能抑制とタモキシフェンを併用する効果は35歳以下の女性で顕著であった。エキセメスタンと卵巣機能抑制を併用する効果が最も高かったのも、上記年齢群であった。予後が術後化学療法を受けた女性より良好であったため化学療法を受けていない女性では、タモキシフェン単剤投与群において95%の女性が5年間のタモキシフェンでの治療後乳癌を再発せず、再発率が非常に低かったため、卵巣機能抑制の効果が確認されなかった。SOFT試験には、2003年12月~2011年4月の間に3,000人以上の閉経前ホルモン受容体陽性早期乳癌女性が登録された。本試験に参加した女性は長期予後と副作用を評価するため、生涯にわたって追跡調査が行われる予定である。 本試験はIBCSGがthe Breast International Group とthe North American Breast Cancer Groupと共同で実施し、IBSCG、製薬会社Pfizer社およびIpsen社とNCIにより支援が行われている。
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