OncoLog 2014年8月号◆ In Brief「乳癌診断に針生検が十分活用されていない」
MDアンダーソン OncoLog 2014年8月号(Volume 59 / Number 8)
Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL
乳癌診断に針生検が十分活用されていない
針生検は乳癌診断における標準的な検査であるが、十分に活用されておらず、代わりに極めて多くの患者が針生検よりも侵襲的な摘出生検を受けていることが、最新の研究で明らかになった。
本研究は、針生検が複数の乳癌手術を受ける必要性を減らすとした過去の研究も裏づけるものであった。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、放射線腫瘍学准教であり、本研究の責任著者でもあるBenjamin Smith医師によれば、針生検の利点の一つとして挙げられるのは、摘出生検の場合、術後補助療法の指標として用いられるセンチネルリンパ節生検の際に偽陰性となるリスクが高まる可能性がある。
「摘出生検は乳癌治療に悪影響を及ぼすという側面もあり、単純に無駄な検査になってしまうことも少なくありません」とSmith氏は述べる。「本研究では、国家規模でどれほど無駄であるのかを数値化し、治療形式が患者の幸せに及ぼす影響を突き止めたいと考えました」。
後ろ向き研究として、Smith氏およびその同僚らは2003年から2007年にかけて乳癌患者89,712人のMedicare claims(メディケア請求書)を調べた。いずれの患者も乳房温存手術および放射線療法を受けていた。
患者のうち68.4%が針生検を受けており、その割合は2003年で60.8%、2007年には76.5%と増加していた。
全患者中、3分の1近くが外科医との相談前に針生検(多くは放射線医師によって実施)を受けていた。生検前に外科医と相談した患者のうち、針生検を受けたのは53.7%であった。
研究では、生検前に外科医に相談する患者および外科医の特徴についても調べている。放射線治療施設から8.1マイル(約13km)より離れた場所に居住している患者は、近隣に居住する患者よりも針生検を受ける前に外科医と相談する傾向にあった。針生検よりも摘出生検を受けた患者を受け持つ外科医の特徴としては、専門医師会の認定がなく、症例数が少なかった。
「対処すべき交通の便に関する問題がある一方で、外科医の職務内容が治療の上で非常に重要であることが明らかになったのです」と、Smith氏は言う。
治療の重要な側面として、患者一人あたりの乳癌手術の回数も調べられた。乳癌手術を複数回受けた患者の割合は、摘出生検を受けた患者では69.6%であったのに対し、針生検を受けた患者ではわずか33.7%であった。
本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌7月号に掲載されている。
OncoLogに掲載される情報は、教育的目的に限って提供されています。 OncoLogが提供する情報は正確を期すよう細心の注意を払っていますが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよびその関係者は、誤りがあっても、また本情報を使用することによっていかなる結果が生じても、一切責任を負うことができません。 医療情報は、必ず医療者に確認し見直して下さい。 加えて、当記事の日本語訳は(社)日本癌医療翻訳アソシエイツが独自に作成したものであり、MDアンダーソンおよびその関係者はいかなる誤訳についても一切責任を負うことができません。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
乳がんに関連する記事
転移トリネガ乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ツールを開発
2024年11月13日
FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認
2024年10月24日
乳がん後の母乳育児が安全であることを証明する初めての研究結果
2024年10月14日
● この結果は、乳...
HER2陽性乳がんの脳転移にトラスツズマブ デルクステカン(抗体薬物複合体)が有効
2024年10月21日
• 今回の結果は、今まで行われてきた複数の小規模...