LetrozoleのFDA承認
2004/10/29掲載 2011/1/11更新
商品名:Femara® フェマーラ
臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報はFull prescribing information で参照できます。
2005年12月28日、米国食品医薬品局(FDA)は早期乳癌ホルモン受容体陽性の閉経後女性の補助治療にレトロゾール(letrozole)錠剤(Femara®、ノバルティスファーマ社製)を承認しました。
早期乳癌におけるレトロゾールの有効性は中央値24カ月間の治療を受け、中央値26カ月間の経過観察を受けた患者における、無病生存期間の分析に基づいています。追跡分析により、安全性と有効性の長期転帰を決めます。
受容体陽性早期乳癌で外科的切除を受けた閉経後の8,000人以上の女性が多施設二重盲検臨床試験において以下の群にランダムに分けられました。
◆ A群:タモキシフェンでの治療5年間
◆ B群:レトロゾールでの治療5年間
◆ C群:タモキシフェンでの治療2年間後レトロゾールでの治療3年間
◆ D群:レトロゾールでの治療2年間後タモキシフェンでの治療3年間
A群とB群のデータと、C群とD群の連続治療における治療の薬剤変更後30日間までのデータのみを一緒にして分析されました。必要な事象数が集まった時点で、連続した内分泌治療と単剤療法の比較が行われる予定です。
無病生存期間は、ランダム化から浸潤性局所領域再発までの期間、遠隔転移までの期間、浸潤性対側乳癌が見られるまでの期間、あるいはすべての原因による死亡までの期間のうち一番短いもので定義されました。
レトロゾールで治療された患者では有意に無病生存期間イベントが少なく見られました。[ハザード比:0.79(95%CI:0.68、0.92)p=0.002]
全身性無病生存は、ランダム化されたときから浸潤性領域再発までの時間、遠隔転移までの時間、またはすべての原因による死亡までの時間で定義されました。レトロゾールで治療された患者は全身性無病生存事象が有意に少なく見られました。 [ハザード比:0.83(95%CI:0.70、0.97)p=0.022]
遠隔転移時間は、ランダム化から遠隔転移までの時間(死亡を含まず)で定義されました; レトロゾール治療をうけている患者で有意に少ない事象が記されています。[ハザード比: 0.73(95%CI:0.60、0.88)p=0.001]。レトロゾールで治療を受けている患者とタモキシフェンで治療を受けている患者の間で生存には有意な差異は見られませんでした。 [ハザード比:0.86(95%CI:0.70、1.06)p=0.155]
レトロゾールの最も一般的な有害事象は、タモキシフェンと比較して、ほてり/紅潮(33.7%対38%)、関節痛/関節炎(21.1%対13.4%)、寝汗(14.1%対16.4%)、体重増加(10.7%対12.9%)と悪心(9.5%対10.4%)でした。
他の重要な有害事象は、骨折(5.7%対4%)、心筋梗塞(0.6%対0.4%)、子宮体癌(0.2%対0.4%)、第2の悪性腫瘍(1.9%対2.4%)と血栓塞栓性イベント(1.2%対2.8%)でした。
薦められるレトロゾール錠剤の服用は、食事時または食事時以外によらず、日に一度の2.5mgの錠剤投与です。補助セッティングの、レトロゾール最適治療期間は不明です。試験の予定治療期間は5年ですが、分析の時点で、治療期間の中央値は24カ月、追跡期間の中央値は26カ月、患者の16%が5年間治療をうけていました。
(HAJI 訳・林 正樹(血液・腫瘍科)監修 )
2004年10月29日、米国食品医薬品局はletrozole錠剤(Femara®、ノバルティスファーマ社の商標)を5年間の術後タモキシフェン療法を受けてきた閉経後の女性のための、早期乳癌術後の延長補助療法として迅速承認しました。承認は迅速承認制度に基づき、スポンサーは長期的結果の分析を提供することが必要条件です。
安全性と有効性は二重盲検式の多国間、多施設共同臨床試験で評価されました。試験では、術後タモキシフェン療法を5年間受けてきた閉経後の女性で、ホルモン・レセプター陽性の早期乳癌である女性が参加しました。合計5187人の術後タモキシフェン療法を試験開始前3カ月以内に終了した女性がletrozole、プラセボのいずれかを5年間投与するようランダムに割り当てられました。
被験者はホルモン・レセプターが陽性かどうか、リンパ節の状態、及び、前に受けた術後化学療法の種類で層別されました。安全性と有効性、双方の評価は追跡調査期間が短いため限定されたものになります。追跡期間の中央値は28カ月で、追跡期間が3年以上の被験者は30%で、5年以上追跡された被験者は1%未満でした。
承認は無病生存期間(DFS)の分析に基づいてなされました。この無病生存期間は、無作為割り付けされた時から、原発病巣の局所領域再発と遠隔再発、反対側の乳房の癌再発の最初の兆候が見られるまでの、または、死亡までの期間と定義づけられます。分析をした時点での、無病生存期間の定義にある事象の出現率はletrozoleを投与されていた被験者が4.7%であったのに対してプラセボを投与されていた被験者は7.5%でした(HR=0.62、95%、CI:0.49、0.78、P=0.00003)。遠隔転移のリスクもletrozoleの投与の方がプラセボの投与よりも非常に低い(HR=0.61、95%、CI:0.44、0.84、P=0.003)です。しかし、データは生存期間の分析をするには不十分でした。
letrozoleを長期にわたって投与することのリスクは十分評価されていません。短い追跡期間の分析によれば、臨床的な骨折の発生率はletrozoleを投与された被験者(5.9%)とプラセボを投与された被験者(6.9%)とで同等でした。自己申告による骨粗しょう症の発生率はletrozoleを投与された被験者(6.9%)の方がプラセボを投与された被験者(5.5%)よりも高かったです。
副次的に実施された臨床試験から得られた予備的な結果では(20カ月の追跡期間の中央値)腰骨のミネラル密度(BMD)の平均的の減少が実証されました。つまり、投与開始後2年でletrozole対プラセボのミネラル密度の減少はそれぞれ3%対0.4%でした(p=0.048)。腰椎の場合、平均的なミネラル密度の減少は、投与開始後2年でletrozoleとプラセボを比較するとそれぞれ、4.6%と2.2%の減少でした。(p=0.069)
虚血性の心臓疾患(血流の不足により心臓に酸素が行き渡らないこと)の発生率は主要な無作為化比較対照試において、letrozoleを投与された被験者の発生率(6.8%)とプラセボを投与された被験者の発生率(6.5%)とで同等でした。
乳癌術後の延長補助療法では、letrozoleをどれぐらいの期間で投与するのが最適か不明です。というのも、無作為化比較対照試験の投与期間の中央値は24カ月で、25%の被験者だけが最低3年投与され、5年(予定通りの投与期間)投与されたのは1%未満の被験者だけだからです。また、投与は乳癌の再発の時点で終了しなければなりませんでした。
(有田香名美 訳・林 正樹(血液・腫瘍科)監修 )
「薬剤情報のサマリーは、FDAの抗腫瘍薬製品室(ODP)責任者のRichard Pazdur, M.D.氏によって書かれています。 米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (“癌の新治療承認手順の理解”参照)。 FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。」 |
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