FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認

米国食品医薬品局(FDA)

2024年9月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の再発リスクの高いステージIIおよびIIIの早期成人乳がん患者に対する術後補助療法として、ribociclib [リボシクリブ](販売名:Kisqali、Novartis Pharmaceuticals社)とアロマターゼ阻害剤の併用療法を承認した。さらにFDAは、リボシクリブとレトロゾールのコパック(販売名:Kisqali Femara Co-Pack、Novartis Pharmaceuticals社)も同じ適応で承認した。*ribociclibおよびCo-Packは日本未承認(訳注)

リボシクリブと非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(NSAI)との併用療法の有効性は、HR陽性、HER2陰性早期乳がんの成人患者5101人を対象とした無作為化非盲検多施設共同試験NATALEE(NCT03701334)で評価された。本試験では、リンパ節転移のある患者(顕微鏡的リンパ節転移を除く)、またはリンパ節転移がない場合、腫瘍径が5cmを超える患者、または腫瘍径が2~5cmでグレード2(および高ゲノムリスク、もしくはKi67が20%以上)またはグレード3の患者を対象とした。

患者は、リボシクリブ(400mg)+NSAI投与群とNSAI単独投与群に無作為に(1:1)に割り付けられた(患者は必要に応じてゴセレリンを投与された)。無作為化は、解剖学的病期、化学療法歴(術前および術後)、閉経状態(閉経前および男性と閉経後)、地域(北米/西ヨーロッパ/オセアニアとその他の地域)によって層別化された。

主な有効性の評価指標は、浸潤性無病生存期間(iDFS)であった。iDFSは、無作為化日から、局所性または領域性浸潤性乳房再発、遠隔再発、何らかの原因による死亡、対側浸潤性乳がん、乳がんではない二次性原発性浸潤がん(皮膚の基底細胞がんおよび扁平上皮がんを除く)が最初に確認された日までの期間と定義された。

中間解析において、iDFSの統計学的に有意な改善がintent-to-treat患者集団で観察された。iDFS最終解析における有効性の結果、36カ月時点のiDFSはリボシクリブ+NSAI群で90.7%(95%信頼区間:89.3、91.8)、NSAI群で87.6%(95%信頼区間:86.1、88.9)であり、ハザード比は0.749(95%信頼区間:0.628、0.892)であった。iDFS最終解析時点ではOSはimmature(未成熟)であった。

NATALEE試験で認められた有害事象は、NSAIと併用した場合のリボシクリブの現在の安全性プロファイルと一致していた。安全性情報の詳細は処方情報に記載されている。

術後補助療法の場合、推奨されるリボシクリブ用量は400 mg(200 mgフィルムコート錠2錠)を1日1回21日間連続経口投与し、その後7日間休薬する28日間治療サイクルである。アロマターゼ阻害剤の推奨用量については、処方情報を参照のこと。

Kisqali およびKisqali Femara Co-Packの全処方情報はこちらに掲載予定。

  • 監修 小坂泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
  • 記事担当者 後藤 若菜
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  • 原文掲載日 2024/09/17

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