◆ASCO年次大会で注目された乳癌、前立腺癌、大腸癌の治療に関する重要な進展
大規模第3相臨床試験により新たな標準ケアが確立、また、一般的な分子標的薬を用いた治療選択肢の有効性を確認(プレナリーセッション)
本日、第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次大会で乳癌、前立腺癌及び大腸癌に関する4つの第3相臨床試験が発表された。これらの試験は、患者のケアに非常に大きな影響を与える可能性がある本大会において最も重要な臨床癌研究を演題とする、ASCOのプレナリーセッションで発表された。
これらの枢要な試験では、日常的に使用されている化学療法、ホルモン療法及び最新の分子標的薬を最も効果的に使用する新たな方法が明らかにされるとともに、切除不能大腸癌に対する2種類の一般的な治療法の有効性を比較する際の重要な疑問点が解明された。4つの試験はいずれも、少なくとも部分的に米国国立衛生研究所を通じて連邦政府の助成を受けた。
「本日の結果は、癌患者さんやその担当医が日々直面している重要な疑問点を解明するものです。これらの試験結果によって、確実に患者さんの生存期間が延び、生活の質が改善します」と、ASCO会長でスローンケタリング記念がんセンターBreast Cancer Medicine Service(乳癌医療サービス)の部長でもあるClifford A. Hudis医師、米国内科学会名誉上級会員(Fellow of American College of Physicians:FACP)は語る。「これらの、また、癌研究の歴史におけるその他の重要な進展は、我が国で長年にわたり臨床癌研究に対する資金援助が推進されてきたからこそ実現できたのです。今後もこのような研究助成が継続されなければなりません」。
プレナリーセッションの発表演題は次のとおり:
- ホルモン感受性早期乳癌の若齢女性に対する術後補助療法にエキセメスタンと卵巣機能抑制の併用はタモキシフェンよりも効果的:ホルモン受容体陽性早期乳癌の若齢女性では、卵巣機能抑制を併用した場合、術後(アジュバント)エキセメスタン療法はタモキシフェンよりも乳癌再発予防に有効であり、癌再発の相対リスクを28%低下させる。
- 一次ホルモン療法にドセタキセルを追加した場合、転移性ホルモン感受性前立腺癌男性の生存期間が顕著に延長:化学療法を受けることが可能な健康状態にある進行性前立腺癌男性、なかでも転移が広範にわたる男性のファーストライン治療にドセタキセルを追加すべきであることが研究結果により示唆された。
- 転移性大腸癌の一次治療では化学療法+ベバシズマブと化学療法+セツキシマブは同等の生存利益をもたらす:米国政府が助成する大規模直接比較試験によって、長年不明であった4種類の一般的な投与法の相対的な有効性が明らかになり、治療を決定する際に、患者や医療従事者に新たな安心を与える結果となった。
- HER2陽性早期乳癌女性では、トラスツズマブによる術後補助療法にラパチニブを追加しても転帰は改善しない:ALTTO試験の第3相試験の結果、2種類の抗HER2薬による術後補助療法は、標準治療であるトラスツズマブ単剤療法と比較して無病生存期間を延長させなかった。
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