定期的な運動は乳癌リスクを低下させる

キャンサーコンサルタンツ

毎日1時間の運動は、年齢や体重に関係なく乳癌のリスクを下げるという研究結果が、スコットランドのグラスゴーで開かれた2014年欧州乳癌会議で発表された。

毎年、約227,000人の女性が乳癌と診断され、40,000人近くが乳癌で死亡する。

定期的な運動は心身の健康全般を改善し、癌のリスクを低下させることがわかっている。運動が乳癌リスクの低下に関連していることを示す研究が複数ある。一方、ホルモン補充療法は乳癌リスクを高めると考えられている。運動が乳癌リスクに及ぼす効果と、この効果がホルモン補充療法によって影響を受けるか否かを評価するために、研究者らは1987年から2013年の間に発表された37試験についてメタ解析を実施した。対象となった試験には合計420万人を超える女性のデータが含まれる。

運動量が最高レベルと最低レベルの女性を比較した結果、研究者は、最高レベルの女性で乳癌リスクが12%低下することを見出した。この効果は年齢、体重、または地理的位置に関係なく確認された。事実、運動を始める年齢とは無関係であることが明らかになった。

しかしながら、重要な調査結果の一つとして、女性がホルモン補充療法を受けていると運動の効果が帳消しになることが明らかになった。さらに、エストロゲン受容体陰性乳癌の女性は、エストロゲン受容体陽性乳癌の女性に比べて、運動による効果をより一層受けるという結果であった。

研究者らは、毎日1時間以上運動する女性は乳癌リスクが低くなると結論づけた。ただし、ホルモン補充療法を受けていない女性に限る。リスク低下の理由はわかっていない。なぜなら、今回の結果は肥満度指数と無関係であり、体重管理以外の因子の関与が示唆されているからである。

参考文献
Autier P, Pizot C, Boniol M, et al: Physical activity, hormone replacement therapy and breast cancer risk: A meta-analysis of prospective cohort studies. Presented at the 2014 European Breast Cancer Conference in Glasgow, Scotland. Abstract 111.


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翻訳担当者 大木勝弥

監修 大野 智(腫瘍免疫学、免疫療法、補完代替医療/帝京大学・東京女子医科大学)

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