乳がん予防のため閉経後女性にアナストロゾールを推奨

キャンサーリサーチUK

乳がん治療薬アナストロゾール(販売名:アリミデックス)は本日、英国でリスクの高い女性の乳がん予防の選択肢として認可された。

推定で289,000人の閉経後女性(その多くは重大な乳がん家族歴を持つ)が、アナストロゾールを予防治療として使用する条件を満たす可能性がある。アナストロゾールはリスク半減の可能性があることをキャンサーリサーチUKが資金提供した試験で明らかになった。

対象女性がアナストロゾールを服用した場合、全体として(発症する運命だった)4人に1人に相当する約2,000例の乳がんを予防できることが研究で示唆されている。

「リスクの高い女性の乳がんを予防する方法は非常に必要であり、今回の発表を歓迎しています」とキャンサーリサーチUKの予防と早期発見の責任者であるDavid Crosby医師は語った。

「われわれはアロマターゼ阻害剤と呼ばれるこの種の薬剤を使い込む中で重要な試験をいくつか施行し、10年前の臨床試験でアナストロゾールが最小限の副作用で一部の女性の乳がん発症リスクを半減させることを示しました」。

かつてアナストロゾールはMedicines and Healthcare Products Regulatory Agency(MHRA:医薬品・医療製品規制庁)から乳がん治療薬としてのみ認可されていたため、リスク軽減の選択肢としてアナストロゾールの恩恵を受けられる女性が手にすることは困難であった。アナストロゾールはMHRAがNHSイングランドのMedicines Repurposing Programme(医薬品再利用プログラム)の一環として再許可した最初の薬剤である。

アナストロゾールを適応外で予防薬として提供を受けたリスクの高い女性の1人がLesley-Ann Woodhamsさんである。この61歳の女性は2023年1月に1日1錠の全5年間の服用を終了した。

「乳がんで闘病している母の姿を見ており、私はリスクが非常に高かったので、アナストロゾールの服用を容易に決断できました」とWoodhamsさんは語った。

「本当にアナストロゾールは贈り物でした。家族にも私自身にも安心感を与えてくれましたし、より重要なことに、アナストロゾールは未来が続くと、前向きにさせてくれました。私はこの薬剤を服用した毎日に感謝しています。アナストロゾールは人生を変える薬剤でした。アナストロゾールのおかげで私は自分の人生を計画通りに生き続けることができました」。

アナストロゾールは古くからある薬剤なため、現在は特許が切れており、アナストロゾールは複数の会社により製造が可能で、より安価に入手できる。現在、全5年間の服用にかかる費用はわずか78ポンド、つまり1日約4ペンスである。NHSイングランドによると2,000人の乳がんを予防すれば、治療費も1,500万ポンド節約できるはずである。

「すでに安全性が確認されている治療薬を予防に再利用することは、多くの可能性を秘めた分野です」とCrosby医師は語る。「このような機会をさらに増やし、誰ががんにかかるリスクが高いかをよりよく理解し、そのリスクを低減する手助けをするためには、さらなる研究が鍵となるだろう」。

乳がんの家族歴があり、がんのリスクを心配している人は、医師に相談してください」とCrosby医師は付け加えた。

  • 監訳 小坂泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
  • 翻訳担当者 松長愛美
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/11/07

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...