男性乳癌の危険因子をNIHが調査研究で確認

米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート

原文掲載日 :2014年2月19日

乳癌に罹患した男性約2,400人と、罹患していない男性約52,000人のデータを統合する過去最大規模の研究が実施され、男性乳癌の危険因子として、肥満、クラインフェルター症候群と呼ばれるまれな遺伝子性疾患、および女性化乳房(過剰な乳腺組織)が確認された。男性の乳癌はまれな疾患であり、米国において2014年の新患者数は約2,000人と予想されている。乳癌と診断される男性は女性患者の1%にも満たないため、男性乳癌に関連する危険因子の研究は症例数および範囲が限定されていた。NCIの研究者達はこの問題に取り組むため、男性乳癌に関する21件を超える研究の危険因子のデータを統合した。研究者による研究の結果は2014年2月19日のJournal of National Cancer Institute誌に掲載された。

NCIのLouise Brinton博士とMichael B. Cook博士に率いられた研究チームは、肥満指数(BMI)の高い男性で、わずかであるが統計学的に有意な乳癌リスクの上昇があることを認めた。BMIが最も高い群の男性は、最も低い群の男性と比較して、乳癌リスクが35%高かった。BMIの高い男性(乳腺組織が過剰でエストロゲン濃度も上昇していることが多い)で認められたリスクの上昇は、閉経後女性の乳癌リスクのパターンと類似している。また、女性化乳房はクラインフェルター症候群や肥満のいずれからも独立して、男性乳癌リスクの10倍の上昇と関連していることも確認された。次の段階として、Brinton博士はこのプロジェクトに関連するいくつかの研究から入手可能な生物学的検体のホルモン濃度を測定し、自然に分泌されるホルモンが男性での乳癌リスクに及ぼす影響をさらに詳細に分析し、これらの知見を追跡調査することを計画している。

原文

翻訳担当者 月橋純子 

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告の画像

米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告

米国保健福祉省(HHS)ニュースリリース飲酒は米国におけるがんの予防可能な原因の第3位本日(2025年1月3日付)、米国公衆衛生局長官Vivek Murthy氏は、飲酒とがんリ...
【SABCS24】乳がんctDNAによるニラパリブの再発予測:ZEST試験結果の画像

【SABCS24】乳がんctDNAによるニラパリブの再発予測:ZEST試験結果

ステージ1~3の乳がん患者において治療後のctDNA検出率が低かったため、研究を早期中止

循環腫瘍DNA(ctDNA)を有する患者における乳がん再発予防を目的とするニラパリブ(販売名:ゼ...
【SABCS24】CDK4/6阻害薬の追加はHR+/HER2+転移乳がんに有効の画像

【SABCS24】CDK4/6阻害薬の追加はHR+/HER2+転移乳がんに有効

「ダブルポジティブ」転移乳がん患者において、標準療法へのCDK 4/6阻害薬追加により、疾患が進行しない期間(無増悪期間)が有意に延長したことが、サンアントニオ乳がんシンポジウ...
【SABCS24】中リスク乳がん患者のほとんどは乳房切除後の胸壁照射を安全に回避できる可能性の画像

【SABCS24】中リスク乳がん患者のほとんどは乳房切除後の胸壁照射を安全に回避できる可能性


BIG 2-04 MRC SUPREMO臨床試験によると、中リスク乳がん患者は乳房切除後に胸壁照射(CWI)を受けても受けなくても、10年生存率は同程度であったという結果が、2024年...