化学療法に伴う乳がんサバイバーの末梢神経障害をコンピューターゲームが改善
MDアンダーソンがんセンター
化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は、多くのがんサバイバーにしびれ、感覚の喪失、痛みなどのネガティブな感覚を引き起こし、がん治療後の主な慢性的問題として残っている。研究者らは、脳に直接働きかけることで神経障害の知覚が改善されることを新たな研究で明らかにした。Sarah Prinsloo博士が主導した本研究では、CIPNを経験した乳がんサバイバー91人を3つのグループに分けた。第1群はクローズドループ 脳-コンピューターインターフェース(BCI)によるセッションに参加し、第2群はプラセボ・フィードバックを受け、第3群は介入を受けなかった。各セッション中、参加者たちは、脳の感覚や動作の処理方法を変えるようにデザインされたコンピューターゲームを行った。20回のセッション後、2つの介入群のみが症状の有意な軽減を経験した。BCI群は最大の改善を経験し、最終セッション後1カ月間症状は改善し続けたが、プラセボ群では症状は再発した。詳細はCancer誌を参照のこと。
【MDアンダーソン研究ハイライト 2023/09/21】
特集:末梢神経障害とケモブレインの進展、CAR-T細胞アトラス、AMLの治療標的、膵臓がんと骨がんのリスク予測ツールなど
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。
MDアンダーソンにおける最近の開発には、乳がんサバイバーの末梢神経障害の症状改善を支援するコンピューターゲーム、CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の単一細胞アトラスの一般公開、TP53変異陽性急性骨髄性白血病(AML)の新たな標的、ケモブレインを予防する前臨床標的、膵臓がん発症リスクの高い患者を特定するのに役立つ血液検査、骨がん患者の転帰リスクを予測するゲノム的洞察などがある。
- 監訳 佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)
- 翻訳担当者 青山真佐枝
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- 原文掲載日 2023/10/04
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