タモキシフェンによりBRCA1/2遺伝子変異を有する女性の対側乳癌リスクが低下
キャンサーコンサルタンツ
Journal of Clinical Oncology誌に掲載された試験結果によると、二次予防としてタモキシフェンを投与することによりBRCA1/2遺伝子変異を有する女性の二次対側乳癌リスクが低下することがわかった。
乳癌と診断された女性の一部は最終的に、対側乳房に二次乳癌を発症する。これは対側乳癌と呼ばれる。既に乳癌を発症した女性の二次乳癌リスクは、一般集団の一次乳癌リスクよりも高い。
対側乳癌リスクに影響を与える因子は、BRCA1/2遺伝子変異の存在である。このような遺伝子の家族性突然変異(母方あるいは父方の家系を通じて伝わることがある)は、乳癌および卵巣癌の生涯発症リスクを非常に高めることがわかった。
タモキシフェンは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)として知られる薬剤であり、乳癌細胞中のエストロゲン受容体を阻害するため、エストロゲン刺激による細胞増殖が減少する。タモキシフェンは乳癌リスクが高い女性において、乳癌治療と同様に乳癌予防にも使用されている。5年間のタモキシフェン補助療法は、ER陽性乳癌の再発および死亡リスクを低下させることが明らかとなり、非常に長期間にわたり標準治療となってきた。
タモキシフェン投与と対側乳癌との関連性を検討するため、研究者らはIBCCS、KConFab、BCFRから得られたデータをプール解析した。以上3つの観察コホート研究では合計で、1970年以降に片側乳癌と診断されたBRCA1遺伝子変異保有者1,583人およびBRCA2遺伝子変異保有者881人が対象となった。浸潤癌の既往歴またはタモキシフェンの投与歴がある患者は皆無であり、BRCA1遺伝子変異を有する患者の24%およびBRCA2遺伝子変異を有する患者の52%では最初の乳癌発症後にタモキシフェン補助療法が実施された。
解析結果から、以前に片側乳癌と診断された女性の対側乳癌リスクは、タモキシフェンを投与されたBRCA1遺伝子変異保有者では非投与群に比べて62%低下し、BRCA2遺伝子変異保有者では67%低下することがわかった。
研究者らは、BRCA1/2遺伝子変異保有者ではタモキシフェン投与と対側乳癌リスク低下との間に関連性があると結論づけた。
参考文献:
Phillips KA, Milne RL, Rookus MA, et al. Tamoxifen and risk of contralateral breast cancer for BRCA1 and BRCA2 mutation carriers. Journal of Clinical Oncology. Published early online August 5, 2013. doi: 10.1200/JCO.2012.47.8313
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