閉経後女性の運動量とエストロゲン代謝の関連性を新たな手法で評価
• 運動量を直接測定する方法と尿中エストロゲン濃度を包括的に解析する方法を用いた
• 運動量の増加によりエストロゲンおよび4種類のエストロゲン代謝物の尿中濃度が低下した
• 研究データから運動量と乳癌リスクの関連性が示唆される
研究者らは、閉経女性において運動がエストロゲンの分解・尿中排泄量に与える影響について新たな知見を得た。4月6〜10日にワシントンD.C.で開催された2013年AACR年次総会で研究データを発表した研究者によると、これらの知見は閉経女性において運動量の増加が乳癌リスクの低下につながる生物学的メカニズムの理解を深めるものである。
米国国立癌研究所(NCI)の癌予防部門に所属するCher Dallal博士によると、閉経女性では運動量が増加すると内因性エストロゲン濃度が低下し、乳癌リスクが減少する可能性があることが以前の試験で示唆された。しかし、運動が閉経女性のエストロゲン分解に与える影響を評価した研究はほとんどない。この分解過程はエストロゲン代謝と呼ばれ、代謝物としてさまざまな分子が産生される。
「この研究によって、加速度計で測定した運動量と尿中に検出されるエストロゲン代謝物との関係についての検証が初めて行われました」とDallal氏は述べた。「直接的な測定法を用いて両者の関係を検証することで、これらの因子が閉経女性の癌リスクに与える影響をより深く理解できるのではないかと期待しています」。
Dallal氏らは2000〜2003年に実施されたNCI Polish Breast Cancer Studyに参加した540人の健康な閉経女性を対象に研究を行った。いずれの女性も閉経期のホルモン療法は受けていなかった。運動量の測定には加速度計を用い、参加女性は起きている時間、小型の加速度計を腰部に7日間装着した。前回試験では主に試験参加者の自己申告により運動量を測定したが、加速度計を用いた方がより客観的なデータを得ることができるとDallal氏は説明する。
また、参加女性の12時間尿も検査に供した。研究者らはNCIが新たに開発した尿検査法を用いて2種類のエストロゲンの「前駆物質」であるエストラジオールおよびエストロンに加えて13種類のエストロゲン代謝物を測定した。Dallal氏によると、この新しい検査法は前回検査で用いた方法(1〜2種類の代謝物を個別に検出)と比較してより多くの種類の尿中エストロゲンを検出することができる。
研究者らは運動量の増加がエストロゲン前駆物質の濃度の低下に関連していることを発見した。さらに、運動量の増加は4種類のエストロゲン代謝物濃度の低下にも関連していた。一方でDallal氏は、これらの代謝物と乳癌リスクとの関連性を理解するためにエストロゲン代謝に関する詳しい研究がさらに必要であると忠告している。
「これらの新しい検査法を用いて運動とエストロゲン代謝の関係を調べることで、乳癌リスクの低下に関与しているエストロゲン前駆物質、代謝物および代謝経路の組み合わせの解明に近づけるのではと期待しています」とDallal氏は述べた。
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