FDAが初の3-Dマンモグラフィ画像システムを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年2月11日
Media Inquiries: Erica Jefferson, 301-796-4988
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが初の3-Dマンモグラフィ画像システムを承認
−乳癌の検出、診断の精度向上が期待できるSelenia Dimensions System−

米国食品医薬品局(FDA)は、乳癌の検診と診断用に乳房の3次元(3-D)画像を作成する初のX線マンモグラフィ装置であるSelenia Dimensions Systemを承認した。[pagebreak]マンモグラフィは安全で低線量の乳房X線撮影で、乳癌の早期発見に最良のツールである。しかし、従来の2次元(2-D)画像の限界から、最初のスクリーニング検査で異常所見が見つかり、追加検査で癌でないと診断される女性は約10%に上っている。

Selenia Dimensions Systemは、すでにFDAの承認を受けているHologicの2-Dシステムを機能拡張したもので、乳房の2-Dおよび3-DのX線画像を作成できる。3-D画像を加えることで、乳癌の検出と診断の精度が向上する可能性がある。

「この画期的な3-D技術を導入することで、これまでの診断と治療の進め方が大きく進歩する可能性がある」と、FDAの医療機器・放射線保健センター(Center for Devices and Radiological Health)長であるJeffrey Shuren医師および法学博士はいう。

米国国立癌研究所(NCI)は40歳以上の女性に毎年または隔年のマンモグラフィ検診を推奨している。米国で実施されるマンモグラフィ検査は年間約4000万件に上る。

FDAは承認手続きの一環として、2つの臨床試験の結果を検討したが、そこでは300件を超すマンモグラフィ検査の2-Dおよび3-D画像の読影を複数の放射線認定医に依頼した。いずれの臨床試験でも、2-D画像と3-D画像を併用した放射線認定医は、2-D画像のみの場合と比較して、癌と癌でない症例を識別する能力が7%向上していた。

Seleniaの2-D/3-D画像併用方式では患者の被曝線量はおよそ2倍になったが、放射線専門医が癌を検出する精度は向上し、精密検査が必要となる女性の数は減少した。放射線リスクの評価は未知数であるが、2-D/3-D画像併用の検査による癌リスクの増大は、癌の自然発生率と比較して1.5%未満、従来の2-Dマンモグラフィによるリスクと比較して1%未満と予測される。

マンモグラフィ品質規格法(MQSA: Mammography Quality Standards Act)では、新技術のマンモグラフィを臨床で使用するには、事前にすべての医療従事者に8時間の訓練を実施する必要があるとしている。またFDAは、品質管理基準を満たすために必要な初期点検、定期点検、年次点検を明確に規定したマニュアルを各施設に提供するようメーカーに要求している。

NCIによると、この1年間に乳癌と診断される女性はほぼ20万人と予想される。また、一生の間に乳癌と診断される米国女性は8人に1人に上る。早期発見された乳癌で、乳房に限局している場合の生存率は98%である。

Selenia Dimensions Systemは、マサチューセッツ州ベッドフォードに本社を置くHologic Inc.から発売される。

******
月橋 純子 訳
平 栄 (放射線腫瘍医/武蔵村山病院 放射線治療センター長)監修 
******


原文


【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明の画像

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明

乳房組織には、浸潤性乳がんに見られる遺伝子変化を持つ正常細胞が含まれており、将来の早期発見へのアプローチの指針となる可能性がある。

健康な女性の場合、一見正常に見える乳房細胞の一部に浸潤...
心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性の画像

心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性

進行または転移乳がんと診断された患者は、早期乳がんの患者に比べて心血管疾患の既往の可能性が高いことが研究から判明

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によると、心血管疾患(C...
米FDAが切除不能/転移ホルモン陽性HER2陰性乳がんにダトポタマブ デルクステカンを承認の画像

米FDAが切除不能/転移ホルモン陽性HER2陰性乳がんにダトポタマブ デルクステカンを承認

2025年1月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性疾患に対するホルモン療法および化学療法を受けたことのある切除不能または転移、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮...
米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告の画像

米国公衆衛生局長官がアルコールとがんリスクの関連について勧告

米国保健福祉省(HHS)ニュースリリース飲酒は米国におけるがんの予防可能な原因の第3位本日(2025年1月3日付)、米国公衆衛生局長官Vivek Murthy氏は、飲酒とがんリ...