乳癌の補助ホルモン療法と対側乳癌の受容体特異的な亜型のリスク

Cancer Res. 2009 Sep 1;69(17):6865-70. Epub 2009 Aug 25. Links
Adjuvant hormonal therapy for breast cancer and risk of hormone receptor-specific subtypes of contralateral breast cancer.Li CI, Daling JR, Porter PL, Tang MT, Malone KE.
フレッドハッチンソン癌研究センター 公衆衛生学部門(米国シアトル)

一般集団の女性の乳癌リスクと比較して、乳癌の既往のある女性は二次原発対側乳癌のリスクが大幅に高くなる。補助ホルモン療法によりこのリスクは減少するが、予備データから補助ホルモン療法は同時にホルモン受容体陰性対側腫瘍のリスクも増大させる可能性があることが示されている。われわれは初発が原発性エストロゲン受容体(ER)陽性浸潤性乳癌で二次原発対側乳癌と診断された367名の女性と、初発の乳癌のみと診断された対応対照728名の女性について、集団ベースのネスティドケースコントロール研究(コホート内症例対照研究)を行った。補助ホルモン療法、他の治療、乳癌リスク因子のデータを電話による聞き取りと診療録からの抽出で確認した。補助ホルモン療法と対側乳癌のホルモン受容体特異的な亜型のリスクと相関を定量化するために条件付きロジスティック回帰を用いた両側統計的検定を行った(n = 303 ER+, n = 52 ER-)。ホルモン療法を受けていない女性と比較して、5年間以上タモキシフェンの補助療法を受けた女性はER+対側乳癌リスクが減少したが(オッズ比0.4; 95%信頼区間(CI), 0.3-0.7)、ER-対側乳癌のリスクは増加した。5年未満のタモキシフェンの使用はER-対側乳癌のリスクとの相関を認めなかった。補助ホルモン療法は明らかに有益であるが、比較的まれなER-対側乳癌発生のリスクを補助ホルモン療法のリスクのなかで改めて集計する必要がある。これはER+腫瘍と比較してER-腫瘍の予後が悪いという臨床的問題からである。

PMID: 19706753

平 栄(放射線腫瘍科) 訳

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

がんにおけるエストロゲンの知られざる役割ー主要な免疫細胞を阻害の画像

がんにおけるエストロゲンの知られざる役割ー主要な免疫細胞を阻害

エストロゲンは、その受容体を持つ乳がん細胞の増殖を促進することが知られているが、デュークがん研究所による新たな研究では、エストロゲンが、他のがんと同様に、受容体を持たない乳がんにおいて...
乳がん個別化試験で、免疫陽性サブタイプにDato-DXd/イミフィンジが効果改善の画像

乳がん個別化試験で、免疫陽性サブタイプにDato-DXd/イミフィンジが効果改善

早期乳がんに対し、抗体薬物複合体Dato-DXdと免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブの術前併用療法が有用である可能性がI-SPY 2.2試験で示された。乳がんは、米国およ...
転移トリネガ乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ツールを開発の画像

転移トリネガ乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ツールを開発

ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターおよびジョンズホプキンス大学医学部の研究者らは、転移を有するトリプルネガティブ乳がんにおいて、免疫療法薬の効果が期待できる患者をコンピュータツ...
FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認の画像

FDAが高リスク早期乳がんに対し、Kisqaliとアロマターゼ阻害剤併用およびKisqali Femara Co-Packを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年9月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の再発リスクの高いステージIIおよびI...