アベマシクリブはパルボシクリブ抵抗性のHR陽性転移性乳がんに有効

【MDアンダーソンがんセンター研究ハイライト 2023/07/19】より

HR陽性HER2陰性乳がんの薬剤抵抗性のメカニズムを解明

ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性の乳がんは乳がん患者の約70%を占め、転移性疾患に対する初期治療には通常、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ(販売名:イブランス)、リボシクリブ(ribociclib)(商標名:Kisqali[キスカリ])、アベマシクリブ(販売名:ベージニオ)とホルモン療法が併用される。しかし、多くの患者は最終的に治療抵抗性を示すため、臨床転帰を改善するためには薬剤抵抗性のメカニズムを理解する必要がある。Khandan Keyomarsi博士率いる研究者らは、前臨床モデルにおいて、DNA、RNA、タンパク質のマルチオミクス解析を行い、パルボシクリブとアベマシクリブが異なる生物学的経路に作用すること、がん細胞が異なるCDK4/6阻害剤に感受性をもつ異なるプロファイルを示す可能性があることを示した。HR陽性/HER2陰性転移性乳がん患者の転帰を分析した結果、パルボシクリブ投与後にアベマシクリブを投与することが臨床的に有意義であることが示され、パルボシクリブ耐性発現後の患者の転帰を改善するための実現可能な治療としてアベマシクリブ逐次投与の可能性が強調された。詳細はCancer Research誌に掲載されている。

MDアンダーソンニュースリリース

肺がんにおける免疫療法+放射線療法の良好な結果、細胞療法の毒性を予防するアプローチ、予後予測モデルを改善するためのAIの使用について特集する。

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた臨床へと発見がもたらされる。

  • 監訳 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
  • 翻訳担当者 大澤朋子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/07/19

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

乳がんに関連する記事

50歳以上乳がん女性における低頻度マンモグラフィ検査は年1回検査と比較して非劣性の画像

50歳以上乳がん女性における低頻度マンモグラフィ検査は年1回検査と比較して非劣性

Mammo-50試験の結果乳がんの初回診断時に50歳以上かつ診断後3年間再発のない女性において、低頻度のマンモグラフィ検査が年1回のマンモグラフィ検査と比較して劣性ではないこと...
術前化学療法にPD1阻害薬追加で高リスク早期ER+HER2-乳がんの完全奏効率が有意に上昇の画像

術前化学療法にPD1阻害薬追加で高リスク早期ER+HER2-乳がんの完全奏効率が有意に上昇

CheckMate7FL試験およびKEYNOTE-756試験結果CheckMate7FL試験(ランダム化多施設二重盲検プラセボ対照第3相試験)では、アントラサクリンおよびタキサ...
健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明の画像

健康な女性にも乳がんに似た細胞があることが研究で判明

乳房組織には、浸潤性乳がんに見られる遺伝子変化を持つ正常細胞が含まれており、将来の早期発見へのアプローチの指針となる可能性がある。

健康な女性の場合、一見正常に見える乳房細胞の一部に浸潤...
心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性の画像

心臓病患者は進行乳がんのリスクが高まる可能性

進行または転移乳がんと診断された患者は、早期乳がんの患者に比べて心血管疾患の既往の可能性が高いことが研究から判明

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によると、心血管疾患(C...