免疫療法と化学療法併用レジメンが進行癌患者の生存を延長する可能性
- 低用量のインターロイキン-2と13-cisレチノイン酸がナチュラル「キラー」細胞を増加させた
- ステージ4の癌患者は併用療法の利益を受ける可能性
- 併用療法を受けた患者の生存率が改善した
シカゴ - インターロイキン-2と13-cisレチノイン酸による維持療法が、高額な費用をかけずに様々な癌のステージ4患者の生存率を改善する方法かも知れないと、2012年3月31日から4月4日にシカゴで行われた米国癌学会(AACR)の年次総会で発表された。
イタリアのAvezzano市民病院の腫瘍内科部長Francesco Reehia医師は、ある悪性黒色腫の転移患者が通常の18M UI/m2の高用量インターロイキン-2投与を忍容できなくなった事例を経験した後、1995年から進行癌患者の維持療法を評価し始めた。
「患者は低用量の投与を受け、長期間にわたる良い反応を示した」と、同医師は述べた。
この観察の後、Recchia医師はインターロイキン-2単剤、あるいはレチノイン酸との併用でいくつかの試験を実施した。「中間結果が良かったので、化学療法で臨床的利益を得た80人の患者に対し、この薬剤の組み合わせで第2相試験を実施したところ、非常に興味深い結果がでた」
研究者らは、様々な種類の腫瘍を有するが、すべてステージ4の500人の癌患者を評価した。標準的な癌治療の後、患者は皮下への自己注射によるインターロイキン-2(1.8 x 106 IU)と経口レチノイン酸(0.5mg/kg)の投与を一週間に5日間、2週連続して実施して1週休薬するという、3週間サイクルを1年間割り当てられた。中央値60カ月の追跡調査の後、ナチュラル「キラー」細胞(抗腫瘍機能を有する免疫細胞)の数が増え、一方で血管内皮細胞増殖因子が減少していることが報告された。15年間の無病生存率は32.6%、全生存率は36.8%だった。
「これらの試験は期待を大きく上回る良い結果であり、この免疫療法レジメンを含めずにランダム化試験を実施するのは倫理に反すると感じた」と、Recchia医師は話した。「卵巣癌、非小細胞肺癌、肉腫の心臓転移、大腸癌、胃癌、腎細胞癌、悪性黒色腫、頭頸部癌、乳癌、膵臓癌、再発卵巣癌と、すべてのタイプの癌がこの免疫療法で利益を受けた」
異なる癌患者の母集団という制約はあったものの、研究者らは最も一般的な転移癌治療を受けた患者の5年全生存期間について、NCI(米国国立がん研究所)のSEER(Surveillance Epidemiology and End Results)データとの比較で、著しい改善があったと報告した。具体的には、乳癌(試験結果42.7%に対し、SEERデータ23.3%)、肺癌(26.4%に対し、3.6%)、大腸癌(43.6%に対し、11.7%)、腎細胞癌(23%に対し11%)。
インターロイキン-2を使用する免疫療法は新たなモノクロナール抗体に注目の座を奪われ、人気を失っていたとRecchia医師は語った。同医師の研究結果は有望ではあるが、臨床の場にこの維持療法レジメンを取り入れる前に、盲検化、対照化、ランダム化臨床試験を実施する必要がある。
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