イレッサとアリミデックスを併用すると転移性乳癌患者の無増悪生存期間が改善される

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

M.D.アンダーソンがんセンターの研究者たちは、アリミデックス(アナストロゾール)にイレッサ(ゲフィチニブ)を併用すると、閉経後のホルモン受容体陽性転移性乳癌女性の無増悪生存期間(PFS)が改善されることを報告した。本試験の詳細は、2010年3月15日版のClinical Cancer Research誌で発表された。[1]

アリミデックスは、体内のエストロゲン生成を阻止するホルモン療法である。この治療は一般的に、閉経後のホルモン陽性乳癌女性に使用されているが、残念なことに、乳癌女性の中には、アリミデックスに耐性を持つようになる女性や、アリミデックスに少しも反応を示さない女性もいる。このように反応を示さない理由は明らかになっていない。研究者たちは、癌と関連があるその他の生物学的経路を標的にするなど、この耐性に対処する方法について評価を続けている。

以前実施された試験では、ネクサバール(ソラフェニブ)が乳癌女性のアリミデックスに対する感受性を回復させることが示唆された。研究者たちはまた、アリミデックスにハーセプチン(トラスツズマブ)を併用するとPFSが改善されることを明らかにした。イレッサが、タモキシフェン(ノルバデックス)に耐性を持つホルモン陽性乳癌に奏効を示すことも明らかになった。

今回の試験に、ホルモン療法を受けていない閉経後のホルモン陽性転移性乳癌女性93人が参加した。しかし、乳癌患者の中には、タモキシフェンによる術後補助療法に効果を示さない女性もいた。患者は、アリミデックスとイレッサの併用、アリミデックスとプラセボの併用のいずれかに無作為に割り当てられた。

  • PFSは、アリミデックスとプラセボ群の8.4カ月に対して、アリミデックスとイレッサ群の患者では14.7カ月であった。
  • 臨床的有効率は、アリミデックスとプラセボの併用群が34%であったのに対し、アリミデックスとイレッサの併用群は49%であった。

コメント:本試験の著者たちは、内分泌療法との併用による上皮細胞増殖因子の抑制を評価する試験がさらに必要であると示唆している。

参考文献:
[1] Cristofanilli M, Valero V, Mangalik A, et al. Phase II, randomized trial to compare anastrozole combined with gefitinib or placebo in postmenopausal women with hormone receptor-positive metastatic breast cancer. Clinical Cancer Research. 2010;16:1904-1914.


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翻訳担当者 松長 愛美

監修 辻村 信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

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