乳腺腫瘤摘出術後、速やかな放射線治療開始が乳癌の再発リスクを減少させる

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

ダナファーバー癌研究所の研究者らは、局在型乳癌の高齢女性に対する乳房温存療法後、可能な限り速やかに放射線治療を開始することで、局所再発リスクが低下することを確認している。この研究の詳細はBritish Medical Journal誌の2010年3月13日号で発表された。[1]

以前の研究では、乳房温存手術を受けた局在型乳癌の女性に対して、放射線治療の開始を2〜3カ月以上遅延しないことが重要だと示唆している。 著者らはSurveillance, Epidemiology and End Results (SEER) Program- Medicareのデータを使用して、局在型乳癌ステージ0〜2の65歳以上の女性18,050人を対象に放射線治療の開始遅延の影響を評価した。手術から放射線治療開始までの日数の中央値は34日であった。約30%の女性は術後6週間以降に放射線治療を開始した。全患者層における局所再発率は4%であった。

  • 術後6週間以降に放射線治療を開始した場合、局所再発リスクは19%増加した。
  • 局所再発リスクは時間に依存しており、再発リスクは放射線治療の開始遅延と共に増加した。
  • 放射線治療施行の遅延要因は、リンパ節陽性、合併症、低収入、ヒスパニック、非白人、診断時期の遅さ、米国南部州以外の居住区などにあった。
  • 著者らはまた「乳房温存手術率の高さで知られている米国の地域では放射線治療までの間隔が長く、各施設あたりの治療患者数の限界を示唆した」と述べた。

著者らは「局所再発が生存率に与える既知の悪影響を考慮すると、治療開始までの待ち時間に関する相違や指針を改善する仕組みが必要であろう」と提案している。 コメント:これらのデータは、局在型乳癌の最適な治療のために補助放射線治療の適時施行が必要だと示唆する他の研究と一致している。

参考文献:

[1] Punglia RS, Saito AM, NevilleBA, et al. Impact of interval from conserving surgery to radiotherapy on local recurrence in older women with breast cancer: retrospective cohort analysis. British Medical Journal. 2010;340:c845.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 上田佐知子

監修 中村光宏(医学放射線)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...