アバスチン®[Avastin](ベバシズマブ[bevacizmab])/進行乳癌にアバスチンを加えることを評価する第3相試験からの更新結果

キャンサーコンサルタンツ
2005年12月

Eastern Cooperative Oncology group(ECOG)に提携する研究者たちは進行乳癌治療でタキソールにアバスチンを加えることを評価するE2100試験からの更新結果を最近報告した。これらの結果は2005年12月第28回年次San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS)で最近報告された。

アバスチンは血管内皮成長因子(VEGF)に対するヒト化モノクロナール抗体である。アバスチンは5-フルオロウラシルベースの治療と組み合わせて進行結腸直腸癌の第一治療として承認され、この病気の治療にCamptosarR(イリノテカン)ベースの化学療法との組み合わせで生存率の改善を示した。アバスチンは異なる化学療法や標的悪剤との組み合わせとして引き続き評価され多様なタイプの癌でめざましい結果を示しつつある。

American Society of Clinical Oncology(ASCO) 2005年年次総会で提出された第一回中間結果は進行乳癌の治療でタキソールにアバスチンを加えるとタキソール単独より無進行生存期間を改善することを示した。この試験の継続的なフォローアップと解析が引き続き報告されている。

E2100の第二回中間分析は484の進行事象の発現をもって最近提出された。この試験は転移または局所的進行の乳癌のある722人の患者を含む。患者は試験の前に転移に対して化学療法を受けた場合は許容されなかった。しかし術後補助療法は許容された。患者はタキソール単独(90 mg/m2を4週間ごと1,8,15日に)またはタキソール+アバスチン(10 mg/kgを1,8日に)に無作為に振り分けられた。女性の3分の2は病気の早期で以前化学療法を受けていた。また3分の2はホルモン陽性だった。病気が進行を示した女性においてパクリタキセル単独群からアバスチン群へのクロスオーバーは認容されなかった。

  1. パクリタキセル単独で治療された患者の全生存率は13.8 %でアバスチン+タキソールでは29.9%であった。
  2. 無進行生存期間はタキソール単独群の女性では6.1ヶ月でアバスチン+タキソール群では11.4ヶ月であった。(p<0.0001;HR .51)
  3. 以前taxane治療を受けた女性の場合無進行生存期間がタキソール単独では4ヶ月でアバスチン+タキソールで12.4ヶ月であった。
  4. 生活の質(QOL)の相違は17週と33週で指摘されなかった。

今回全生存期間はアバスチン群で約3ヶ月改善されたがより長期のフォローアップが統計的な意義を証明するために必要である。

VEGFとVCAMのレベルと、それらのアバスチン治療に対する潜在的予測能力に関してさらに綿密な研究が完了しつつある。

研究者たちは更新された結果が転移性乳癌の治療にタキソール単独よりタキソール+アバスチンが成果を改善することを引き続き確認していると結論づけた。これらの改善はtaxane療法を以前に受けた女性のグループで実際に大きかった。発表者は今こそアバスチンを乳癌の術後補充療法の場面に導入するべきときであると述べた。

参考

Miller K, Wang M, Gralow J, et al. A randomized phase III trial of paclitaxel versus paclitaxel plus bevacizumab as first-line therapy for locally recurrent or metastatic breast cancer: a trial coordinated by the Eastern Cooperative Oncology Group (E2100). Proceedings from the 28th annual San Antonio Breast Cancer Symposium. San Antonio, Texas. December 2005. Abstract #3.
(Miller K, Wang M, Gralow J, et al. 局所的再発または転移乳癌のファーストライン治療としてパクリタキセル対パクリタキセル+ベバシズマブの無作為第3相試験:the Eastern cooperative Oncology Groupによって調整された試験(E2100)。 第28回San Antonio Breast Cancer 年次総会シンポジウムからの会議録。San Antonio, Texas. 2005年12月。抄録 #3。)


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 内村美里人

監修 榎本 裕(泌尿器科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...