乳癌高リスク女性にMRIスクリーニングを推奨

キャンサーコンサルタンツ
2007年3月

乳癌のリスクが高い女性のスクリーニング検診に使用するMRI(磁気共鳴映像法)のガイドラインを、アメリカ癌協会(ACS)が、CA Cancer Journal of Clinicians 誌2007年3月/4月号で発表した。 2002/2003年以来初の、次のようなガイドラインである。

最近の試験で、臨床的な乳房の検査、超音波検診、そしてマンモグラフィーでの検診を受けた高リスク女性では、MRIを加えることで早期乳癌の検出精度を向上するには意味のあることが示唆されている。 最新のACSガイドラインで、MRIでの画像診断は乳癌の検出に関して、マンモグラフィーに比べて、より感度が高いと結論付けている。

ACSスクリーニング検診ガイドラインに含まれる内容

” 平均的なリスクである女性は40歳から毎年マンモグラフィーと乳房の検査を受けることを続けるべきである。

” 最も乳癌のリスクが高い女性は30歳からMRIとマンモグラフィーによるスクリーニング検診を開始するべきである。

乳癌リスクの高い女性とは次のように定義される

” BRCA1またはBRCA2突然変異保因者である女性。

” 検査の有無にかかわらず、一等親血縁者(親、兄弟姉妹、子)にBRCA1またはBRCA2突然変異保因者を持つ女性。

” リスク評価ツールで乳癌であるリスクが20-30%である女性。

” 胸部に放射線を10歳から30歳の間に受けたことがある女性。

” Li-Fraumeni症候群、Cowden症候群、もしくはBannayan-Riley-Ruvalcaba症候群があるか、一等親血縁者の家族歴にこれらの一つがみられる女性。

” 乳癌に罹ったことがある女性は、対側乳房のMRIスクリーニングを受けるべきである。ランペクトミー(腫瘍摘出術)を受けた患者の乳房も、これに含まれるであろう。

コメント

これらのガイドラインは、誰がMRIスクリーニングにより有益となるかを決めるのに役立つべきである。 しかし、より新しい試験が行われているので,誰がMRI検診を受診すべきで、誰が受診すべきでないかを決めるのに、いつでも役立つ可能性があるという不変のガイドラインではありません。加えて、早期乳癌の検出の精度を高めるために、マンモグラフィーに併用して超音波診断を用いることが進展している。

参考文献:

Saslow D, Burke W, Leach MO, et al. American Cancer Society Guidelines for breast cancer screening with MRI as a adjunct to mammography. CA Cancer J Clin 2007;57:75-89.

____________

関連記事:NCIキャンサーブレティン2007/4/3号


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 下和田 篤子

監修 瀬戸山 修 

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライトの画像

欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト

ESMOアジア会議2024は、アジア地域における集学的腫瘍学に特化した年次イベントである。新しい治療法、特定のがん種の管理に関する詳細な議論、アジア全域を対象とした臨床試験、アジア地域...
喫煙はいかにして乳がん放射線治療を複雑にするのかの画像

喫煙はいかにして乳がん放射線治療を複雑にするのか

放射線治療は基本的ながん治療のひとつであり、乳がんを含むさまざまながん種での治療に用いられている。 
放射線治療は、放射線(通常はX線)を用いてがん細胞のDNAを損傷させ、がん細胞を破壊...
がんにおけるエストロゲンの知られざる役割ー主要な免疫細胞を阻害の画像

がんにおけるエストロゲンの知られざる役割ー主要な免疫細胞を阻害

エストロゲンは、その受容体を持つ乳がん細胞の増殖を促進することが知られているが、デュークがん研究所による新たな研究では、エストロゲンが、他のがんと同様に、受容体を持たない乳がんにおいて...
乳がん個別化試験で、免疫陽性サブタイプにDato-DXd+イミフィンジが効果改善の画像

乳がん個別化試験で、免疫陽性サブタイプにDato-DXd+イミフィンジが効果改善

早期乳がんに対し、抗体薬物複合体Dato-DXdと免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブの術前併用療法が有用である可能性がI-SPY 2.2試験で示された。乳がんは、米国およ...