パーツズマブ〔Pertuzumab(オムニターグ〔Omnitarg〕) とハーセプチン(トラスツズマブ)併用はHER-2陽性の転移性乳癌に有効

キャンサーコンサルタンツ
2008年1月

ハーセプチン単独治療中に進行したHER-2陽性の転移乳癌女性にOmnitarg〔オムニターグ〕とハーセプチンの併用が有意に有効性を示したと国際臨床試験の研究者らが報告した。この第2相臨床試験の詳細は12月に行われた2007年サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)総会で発表された。[1]

Omnitargは、ハーセプチンと同じジェネンテック社によって開発されたHER二量化阻害剤である。二量化はすべてのHER受容体のシグナリング作用に必須と考えられており、Omnitargはこの活性化を阻害する。現在のところ、この二量化が示される癌種において試験が行われており、Omnitargの第1、2相試験については多様な癌に対する併用治療が重点的に行われている。

今回報告の試験では、ハーセプチン治療中に進行した33人の転移乳癌患者を対象にしている。Omnitargとハーセプチン併用治療を行った患者のうち、1人が完全奏効、5人が部分奏効、17人が安定、10人が進行となった。副作用は下痢、嘔気、嘔吐、発疹、筋けいれん、咳、頭痛、呼吸困難、鼻咽頭炎などで、いずれもグレード1-2であった。毒性のために試験を脱落した患者はいなかった。

コメント: 

これらは重要な知見であり、第3相試験が計画されている。

参考文献
[1]Fumoleau P, Wardley A, Miles D, et al. Safety of pertuzumab plus trastuzumab in a phase II trial of patients with HER2-overexpressing metastatic breast cancer which had progressed during trastuzumab therapy. Proceedings from the San Antonio Breast Cancer Symposium, San Antonio, Texas, December 13-16, 2007. Abstract 73.

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翻訳担当者 野中 希

監修 林 正樹(血液腫瘍科)

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