乳房温存療法後の長期的な再発リスク報告

キャンサーコンサルタンツ
2008年4月

乳房温存療法を受けた限局性乳癌の女性を対象とした追跡調査において、局所再発リスクが術後15年でも依然認められることがオランダの研究者らによって報告された。この研究の詳細は2008年1月30日付のInternational Journal of Radiation Oncology Biology Physics誌オンライン速報版に掲載された。

初発乳癌を克服した女性のうち、乳房温存術を受けた場合では同側性乳癌のリスクが高くなり、腫瘍摘出術あるいは乳房切除術を受けた場合、対側性乳癌のリスクも高い。University of Pennsylvaniaの研究者らによる報告では、乳房温存療法および放射線療法を受けている女性の対側性乳癌発生率は20年で15.4%であった。乳癌歴のある女性に対して定期的なスクリーニングプログラムを行うことが重要である。しかしながら、以前行われた調査によると、乳癌克服者は乳癌再発リスクが高いにもかかわらず、スクリーニングマンモグラフィー検診を次第に受けなくなっていくことが明らかになっている。

この研究は限局性乳癌に対して乳房温存療法を受けた女性1000人以上を対象としたものである。追跡期間中央値13年で、114人に同側乳房での再発が認められた。同側性乳癌発生率は、10年で9.3%、15年で13.8%であった。著者らは、15年経過時でも再発曲線は一定の割合に落ち着くことはないことを示した。切除断端が陽性である場合および血管浸潤が認められる場合に再発リスクは高くなった。

コメント

この研究結果は、乳房温存療法を受けた女性がマンモグラフィあるいはその他のスクリーニング法による検査を毎年受ける必要性を強調するものであり、重要である。乳癌が「治癒した」女性は、その状況に満足し、治療後のスクリーニング検査を受けなくなるという結果を示した研究もある。

参考文献:

Kreike B, Augustinus AM, van de Velde T, et al. Continuing risk of ipsilateral breast relapse after breast-conserving therapy a long-term follow-up. International Journal of Radiation Oncology *Biology* Physics [early online publication]. January 30, 2008.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 河原 恭子

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

乳がんリスク評価ツールの仕組みの画像

乳がんリスク評価ツールの仕組み

2024年3月、女優のオリヴィア・マン(Olivia Munn)が乳がんと診断されたことを発表した。Munnさんはまた、がんリスク評価ツールが彼女の診断に至る過程で果たした役割を強調し...
ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全の画像

ハイリスク遺伝子を有する若年乳がんサバイバーの生殖補助医療は安全

ハイリスク遺伝子があり、乳がん後に妊娠した若い女性を対象とした初の世界的研究によれば、生殖補助医療(ART)は安全であり、乳がん再発リスクは上昇しないハイリスク遺伝子があり、乳...
【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善の画像

【ASCO2024年次総会】T-DXd(エンハーツ)がホルモン療法歴のある乳がん患者の無増悪生存期間を有意に改善

ASCOの見解(引用)「抗体薬物複合体(ADC)は、乳がん治療において有望で有益な分野であり、治療パラダイムにおける役割はますます大きくなっています。トラスツズマブ デルクステ...
【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能の画像

【ASCO2024年次総会】若年乳がん患者のほとんどが治療後に妊娠・出産可能

ASCOの見解(引用)「乳がんの治療後も、妊娠や出産が可能であるだけでなく安全でもあることが、データが進化するにつれて次々と証明されてきています。この研究では、妊娠を試みた乳が...