ゾメタは早期乳癌の再発率を低下させない

キャンサーコンサルタンツ
2010年12月16日

早期乳癌患者における術後補助療法としてのビスフォスフォネート剤ゾメタ(ゾレドロン酸)は再発率を低下させなかったとの第3相AZURE試験のこれらの結果が2010年にサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。

ゾメタは癌による高カルシウム血症(カルシウムの血中高濃度)を治療するために使用される薬剤で、多発性骨髄腫または骨転移による合併症を減少させる。ゾメタが抗癌剤として有効であることを示す研究もある。例えば、2009年にオーストリアの乳癌大腸癌臨床試験団体が行った第3相臨床試験は、ゾメタはホルモンレセプター陽性の早期乳癌患者の再発を減少させる可能性を示した。[1]この試験に参加した閉経前の患者は、卵巣ホルモンの産生の抑制と閉経を誘発するためにゴセレリン治療を受けた。

本第3相試験は、AZURE(Adjuvant Zoledronic acid to redUce Recurrence)国際試験[2]として知られ、本研究には3, 360人のステージ2からステージ3の乳癌患者が登録し、参加者は標準治療単独群とゾメタの追加治療群に割り付けられた。

• 全般的にゾメタは無病生存期間を改善しなかった。
• 閉経後少なくとも5年以上経過した一部の患者において、ゾメタは全生存期間を29%改善した。
• ゾメタによる治療よって顎骨壊死(顎の骨の壊死)が少数だが発生した。

これらの結果は早期癌患者の予後を改善するためのゾメタの標準的な投与を支持するものではない。ゾメタが閉経後の早期乳癌患者に有用である可能性を裏付けるためには、更なる研究が必要である。

参考文献:
[1] Gnant M, Mlineritsch B, Schippinger W, et al. Endocrine therapy plus zoledronic acid in premenopausal breast cancer. New England Journal of Medicine. 2009;360:679-691.
[2] Coleman RE, Thorpe HC, Cameron D et al. Adjuvant treatment with Zoledronic Acid in stage II/II breast cancer. The AZURE Trial (BIG 01/04). Presented at the 33rd annual San Antonio Breast Cancer Symposium, December 8-12, 2010. Abstract S4-5.

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芝原広子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 
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原文


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