隠れたリンパ節転移が乳癌予後に及ぼす影響はわずかである

キャンサーコンサルタンツ

早期乳癌でかつ通常の検査ではセンチネルリンパ節に転移がみつからなかった女性を対象に、より詳細なリンパ節評価を起こったところ、女性の約16%に小さな癌が確認された。現在のリンパ節生検に対する取り組みは適切であることを示唆しつつ、このように小さく隠れた癌は診断結果にあまり影響を与えないとした。

これらの結果はNew England Journal of Medicine誌に掲載された。早期乳癌の女性にとって、癌が腋窩リンパ節(わきの下)に広がっているかを確かめることは、癌の病期を決定する上で重要因子である。

腋窩リンパ節生検ではリンパ節を外科的に切除し診断される腋窩リンパ節郭清、またはセンチネルリンパ節生検という比較的小さい範囲の処置を受けるかのいずれかである。 通常のリンパ節生検ではかなり小さな癌の場合見逃されることがある。これらの癌は隠れた転移とされている。

以前の試験の結果では、隠れたリンパ節転移の乳癌患者はまったくリンパ節転移がない患者よりも予後が悪い。 隠れたリンパ節転移の重要性をより検証するために、研究者らはNSABP-B32試験で得た情報を評価した。

試験の主要目的はセンチネルリンパ節生検の安全性と有効性の評価であるが、研究者らは隠れた転移の影響を含むその他の問題についても検討可能であった。 今回の解析では、通常の検査でセンチネルリンパ節転移が陰性の3,887人の女性を対象としたものであった。

隠れたリンパ節転移を発見するために、リンパ節に対しさらに詳細な検査が実施された。 隠れた転移は乳癌の診断結果に影響を与えるものの、その影響はわずかであると研究者らは結論づけた。隠れた転移を発見するための取り組みをしても大きな有益性は得られないようである。

しかしながら、継続追跡調査が必要であり、情報量が増えるにつれ、これらの結果は変わる可能性があると研究者らは示した。

参考文献:

Weaver DL, Ashikaga T, Krag KN et al. Effect of occult metastases on survival in node-negative breast cancer. New England Journal of Medicine. Early online publication January 19, 2011.


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翻訳担当者 小川 明彦

監修 原 文堅(乳腺科/四国がんセンター)

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