イグセンプラとゼローダ併用によりトリプルネガティブ転移性乳癌の無進行生存率を改善/サンアントニオ乳癌シンポジウム

キャンサーコンサルタンツ
2008年12月

最近の国際試験によりイグセンプラⓇ(イクサベピロン)とゼローダⓇ(カペシタビン)がトリプルネガティブ転移性乳癌(MBC)女性患者の無進行生存期間を有意に延長させると結論づけられた。この試験の詳細は2008年12月12日にサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。[1]

イグセンプラは癌細胞の微小管に結合し、細胞分裂を停止させるエポチロンB誘導体である。多施設共同試験に関わった研究者はゼローダにイグセンプラを追加投与するとアントラサイクリン系とタキサン系薬剤では有効でない転移乳癌患者の治療効果が改善したと報告している。ER/PR/HER2陰性(トリプルネガティブ)の乳癌患者は未だ治療が難しい。通常、トリプルネガティブ転移性乳癌(MBC)への標準的治療として、アントラサイクリン系とタキサン系薬剤が使用される。

研究者らは2つの大規模第3相国際臨床試験により集積された分析により、転移乳癌の治療におけるイグセンプラとゼローダの併用とゼローダ単独投与を比較検討した。その2つの試験には、アントラサイクリン系とタキサン系薬剤での治療癧のある転移乳癌患者が2,000人参加した。被験者はイグセンプラとゼローダ併用治療か、ゼローダ単剤の治療を受けるか無作為に割付けられた。両試験の被験者のうち443人がトリプルネガティブであった。

トリプルネガティブの集団の分析は、ゼローダ単剤治療のみの患者が15%であるのに対し、イグセンプラとゼローダの併用治療を受けた患者の奏効率が31%であったことを示している。さらにイグセンプラとゼローダの併用治療を受けた集団の無進行生存率は、ゼローダ単剤の集団が1.7カ月であるのに対し、4.2カ月であった。これらの結果は統計学的に有意である。

コメント:研究者らは、イグセンプラとゼローダの併用は進行したトリプルネガティブの乳癌患者における無進行生存率を初めて統計学的に有意に改善したと述べている。

参考文献:
[1] Rugo HS, Roche H, Thomas E, et al. Ixabepilone plus capecitabine vs capecitabine in patients with triple negative tumors: A pooled analysis of patients from two large phase III clinical studies. 31st Annual San Antonio Breast Cancer Symposium. December 10-14, 2008. Abstract 3057.


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翻訳担当者 平川麻衣子

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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