乳癌術前化学療法と術後化学療法の効果は同等

キャンサーコンサルタンツ

乳癌化学療法は、乳房温存手術の前後どちらで行っても、乳癌再発に対して同等の効果がある。この結果は2011年乳癌シンポジウムで発表された。

乳房温存手術(腫瘤摘出術とも呼ばれる)とは、乳房の腫瘤とその周囲の一部の正常組織を摘出することである。一部の女性患者では、術前化学療法を受けることにより、腫瘤を縮小し、摘出しやすくなる。ただし、術前化学療法と術後化学療法は、局所再発(乳房内またはその近辺での再発)に対して同等の効果があるかどうかは不確実であった。

化学療法を施行するタイミングによって乳癌の再発リスクが変化するかを評価するために、研究者らは1987年から2005年の間に乳房温存手術と放射線療法を受けた約3,000人の女性患者について情報を収集した。患者の約4分の3は術後に化学療法を受け、残りの患者は術前に化学療法を受けた。術前化学療法を受けた患者は、予後因子が不良である傾向が認められた。

  • 乳癌再発リスクの増加に関連した要因は、患者が若年(50歳未満)、臨床病期Ⅲ期、グレード3、エストロゲン受容体が陰性、close(癌細胞が断端の縁から2mm以内に存在する)または陽性の切除縁(切除した組織の断端またはその近辺の癌細胞)であった。
  • 腫瘍の特性を考慮すると、乳癌の再発リスクは、術後化学療法を受けた患者と術前化学療法を受けた患者ではほぼ同等であった。

これらの結果は、乳癌の再発リスクは化学療法のタイミングよりも腫瘍の特性によるところが大きいことを示唆している。

参考文献:

Mittendorf EA, Buchholz TA, Tucker SL et al. Impact of chemotherapy timing on local-regional failures in patients with breast cancer undergoing breast-conserving therapy. Paper presented at: 2011 Breast Cancer Symposium; September 8-10, 2011; San Francisco, CA. Abstract 82.


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翻訳担当者 森島由希

監修 須藤智久(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)

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