2007/04/17号◆スポットライト「マンモグラム調査によりCAD(コンピュータ読影支援システム)を評価」
NCI Cancer Bulletin2007年4月17日号( Volume 4 / Number 15)
●2007/4よりNCI隔週発行となりました
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◇◆◇スポットライト ◇◆◇
マンモグラム調査によりCAD(コンピュータ読影支援システム)を評価
研究者らは、マンモグラム(乳房エックス線撮影)の読影の際に放射線科医を補助するためのコンピュータシステムは、結局、役に立っていないかもしれないと報告した。コンピュータ読影支援、または、CADとして知られているこのシステムは、放射線科医によって見落とされるかもしれないマンモグラムの疑わしき箇所を示すソフトを使用している。
この技術が臨床の場においてどれほど効果のある働きをするのかに関する初めての大規模調査で、研究者らは、それが乳癌の検出を向上させないことがわかった。むしろ、CADを使うことによって、放射線科医が自らの経験によって判定したマンモグラムより偽陽性が有意に多くなるという結果となった。
この技術を使用した場合、使用しない時に比べて20%ほど多くの女性に生検が行われることとなったが、これらの女性のほとんどは乳癌ではなかった。カリフォルニア大学デイビス校のJoshua J Fenton医師らによるこの結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌4月5日号に掲載された。
「われわれのゴールは、コンピュータ読影支援システムが臨床の場でどのように活用されているかを調べることであった。そしてこの調査により、コンピュータ読影支援システムは、われわれの期待ほど成果をあげていないことが分かった」と、共同執筆者である米国国立癌研究所のDivision of Cancer Control and Population Sciences (DCCPS: 癌コントロールと人口科学部門)のStephen Taplin医師は語った。
この結果は驚くべきものであり、多くのマンモグラフィ撮影技師らを失望させるであろうと、Beth Israel Deaconess Medical CenterのFerris Hall医師は付随論文で述べている。Hall医師は、CADを使用することは癌発見率を低下させるだけではなく、偽陽性マンモグラム判定が増加することでさらに検査や生検が行われることになるため、有害であると指摘した。
5万~17万5千ドルほどするCADシステムは、比較的大きなマンモグラフィ検査センターではますます一般的になってきている。このシステムは、1998年に限られたデータに基づきながらも米国食品医薬品局(FDA)より認可され、メディケアーはその直後からCADによる検査費用の支払を始めた。FDAの認可後3年で、全米のマンモグラフィ検査施設の10%がCADを導入し、他の施設もあとに続いた。
残念なことに、研究者らが臨床における利益を確信する前にこの技術が普及してしまったと、Fenton医師は記している。彼のチームとHall医師は、日常的にCADを使用することは有害より多くの利益をもたらすかどうかの大規模調査が必要であると提唱した。
研究者らは、1998~2002年にBreast Cancer Surveillance Consortium(乳癌サーベイランス・コンソーティアム)の43施設の429,000件のマンモグラムを分析し、2,351件が乳癌と診断した。この間、7つの施設でCADを導入し、研究者らは導入前と導入後の結果を比較することができた。それ以外の施設は対照群となった。
この調査はCADが生命を救うかどうかの評価ではなかった。しかし、結果は、前癌状態で浸潤癌になるかもしれないし、あるいは決して危険につながらないかもしれない、非浸潤性乳管癌(DCIS)を発見する臨床的意味という、乳癌の主要な論議を解決する必要性に拍車がかかった。現時点では、どれが浸潤癌になるかを識別するのは不可能である。
この技術を使用することでこれらの病変部の発見が増加したが、浸潤癌のさらなる発見には結びつかなかった。これは、より多くのDCISを発見することが生命を救うかどうかという問題を提起する。論説では、DCISの発見は、スクリーニングに関連した死亡の減少のわずか10%を占めるのみなので、DCISの発見は実質的には乳癌が原因となる死亡を減少させないかもしれないことを示している。
「重要な問題は、より多くのDCISを発見することが生命を救う助けとなるかどうかであり、現在はまだ答えがない」とTaplin医師は述べている。
研究者らは、CADによる検査は、DCISかもしれない1つの癌を検出するために、157人の女性が再び施設を訪れる(そして15人は生検をうける)かもしれないと見積もっている。
このシナリオは、マンモグラフィ検査の国家費用を年間およそ5億5千万ドル増大させるかもしれない。
経済コストに加えて、偽陽性のマンモグラム判定は、女性の健康に長期にわたって影響を及ぼす。研究者らは、偽陽性マンモグラムの判定を受けた女性は、乳癌をより心配する傾向があり、そして、その心配は長年なかなか消え去らないと、Annals of Internal Medicine誌4月3日号に発表した。
「偽陽性マンモグラム判定をうけることは、その女性の振る舞いや安らいだ暮らしに永続的な影響を及ぼす可能性がある」と、この研究を行ったノースカロライナ大学チャペルヒル校のNoel Brewer医師は語る。
NEJM誌での研究の多くの女性は、偽陽性マンモグラム判定結果を受けてただ心配なだけでなく、生検も受けた。「これらの女性は、偽陽性判定を受け心配するだけでなく、その後の検査も受けている」とTaplin医師は述べる。「われわれはこの意味を考える必要がある。」
彼らが調査している懸念の1つは、乳房生検は乳房組織を歪め、将来、マンモグラム読影に影響するかどうかということである。
— Edward R Winstead
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Nogawa 訳
平 栄 (放射線腫瘍医) 監修
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