2007/01/03号◆特集記事「カナダにおける乳癌化学療法は標準的な化学療法より優れている」
同号原文|
米国国立がん研究所(NCI) キャンサーブレティン2007年01月03日号(Volume 4 / Number 1)
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◇ ◆ ◇ 特集記事 ◇ ◆ ◇
カナダにおける乳癌化学療法は標準的な化学療法より優れている
カナダで乳癌の再発予防のために広く使用されている化学療法は、乳癌の標準的な化学療法と考えられている治療法に比較して良好である可能性がカナダの施設が中心となって行われた臨床試験で示された。この中間解析結果は、主任研究員らによって12月17日のサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。
この試験は、カナダと米国の60歳未満で、腋窩リンパ節陽性、またはハイリスク腋窩リンパ節陰性乳癌と診断された患者2,104人を対象とした。これは北アメリカの乳癌のほぼ50%を占める。患者は、外科手術後に、静脈内投与による3つの治療群に患者を無作為に割り付けられた。1つは,米国における標準治療法の1つAC/T療法群(ドキソルビシンとシクロホスファミドの投与後にパクリタキセルを3週毎)、1つはカナダで開発、施行されているCEF療法群(シクロホスファミド、エピルビシンとフルオロウラシルの併用療法)、もう一つは、試験的療法であるdose-dense投与によるEC/T療法の群(エピルビシンとシクロホスファミドの投与後にパクリタキセルを投与)である。
中間解析によると、3年無再発率はAC/T群の患者では85%であったのに対して、CEF群の患者では90.1%、EC/T群では89.5%であった。最終結果はまだ出ていないが、この中間解析では患者の半数は、30カ月以上の追跡調査が行われている。
中間解析では、AC/T療法はCEF療法やCE/T療法に比べて乳癌の再発を予防する治療法として「有意に劣る」と、共同主任研究員であるカナダのニューブラウンズウィック州の癌専門医であるMargot Burnell医師は語った。
この試験は、カナダ癌協会によって一部資金提供され、NCIと複数の製薬企業からの追加資金は米国国立癌研究所のカナダ臨床試験グループによって調達された。
この臨床試験の最終結果により「今後多くの乳癌患者の治療法が変わる可能性がある」が、Burnell医師は、AC/T療法は恐らくは完全に中止されることはないであろうと注意を促し、「標準的な3週毎のAC/T療法は、患者によっては、健康状態や化学療法の副作用に対する忍容性などの点から適切な治療法である」と語った。
「この結果は興味深いものである」と、NCIのCancer Therapy Evaluation Program(癌治療評価プログラム)のJo Anne Zujewski医師は語った。「カナダで用いられているCEF療法やEC/T療法は興味深いものであるが、これらの療法には、深刻で長期に及ぶ毒性といった多くの毒性がある。この試験には多くの要素が含まれているため、どの要因がこの結果を説明するのか判別するのが難しい。」 彼女はさらに、米国での共同研究グループであるCALGBによると、2週毎にAC/Tを投与する’dense-dose’と呼ばれる療法は、カナダの試験で用いられた3週毎のAC/T療法よりも優れていたと語った。
この試験の研究者らは、CEF療法が、試験中のEC/T療法より優れていると判断するのは早計であると語った。また、再発と対照的に、全生存率において、これらの治療法のいずれかが、より良好であるとの判断は時期尚早であるとした。
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