抗痙攣薬による膠芽細胞腫患者の生存期間改善の可能性
キャンサーコンサルタンツ
2009年10月
酵素誘導性抗痙攣薬(EIAC)を投与した膠芽細胞腫患者は、非投与患者と比較し転帰が改善する可能性があることが、Mayo Clinicの研究者らにより報告された。本試験の詳細は、Neurology誌の2009年10月13日号に掲載された。[1]
膠芽細胞腫は発症頻度が高く致死的な原発性脳腫瘍のひとつである。膠芽細胞腫患者は一般的に予後が不良であり、また治療は通常緩和的なものとなる。脳腫瘍手術ならびに術後の放射線療法および化学療法が標準的な初期治療となっている。生存期間中央値は1年程度で、3年生存率は10%未満である。術後のパフォーマンス・ステータスが良好な患者では、生存期間の改善がみられる。本試験では、他の有害作用危険因子に関係なく、放射線療法や化学療法により生存期間の改善が認められた。二次治療ではあまり奏効が得られない。
本試験は、EIACがヒト肝ミクロソーム酵素P450を誘発し、膠芽細胞腫で用いる化学療法剤や分子標的薬の薬物代謝を増進する懸念から、開始に至った。膠芽細胞腫患者650人において抗痙攣薬療法を評価した。このうち72%にEIAC、2%にEIAC以外の抗痙攣薬を投与、また26%では抗痙攣薬を投与しなかった。全生存期間は、EIAC非投与患者の10.7カ月と比較し、投与患者では12.3カ月であった。
無増悪生存期間は、EIAC非投与患者の4.8カ月と比較し、投与患者では5.6カ月であった。研究者は「矛盾した話のようであるが、EIAC投与と膠芽細胞腫患者における優れた転帰との間には相関が認められる。本試験の結果、ヒト肝ミクロソーム酵素P450代謝薬物を用いる比較試験で、投与群におけるEIAC投与患者の割合を層別化する必要があることが示唆された」と同誌で述べた。
コメント:本試験結果は興味深いものであり、膠芽細胞腫患者の治療について新たな理解をもたらす可能性がある。
参考文献:
[1] Jaeckie K, Ballman K, Furth, et al. Correlation of enzyme-inducing anticonvulsant use and outcome of patients with glioblastoma. Neurology. 2009;73:1207-1213.
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