NCI声明:国際癌研究機関、携帯電話を「発癌性があるかもしれない」と分類

NCIニュース

世界保健機関の国際癌研究機関(IARC)は今日、携帯電話の使用およびその他の無線周波数電磁界を、発癌性があるかもしれない(グループ2B)と分類した。これは新たな研究ではなく、従来の研究結果に対立するものでもない。

IARCとNCIは、脳腫瘍の傾向と、ヒトおよび実験動物を対象とした研究から得られる新たなエビデンスについて、モニタリングを継続するよう勧告している。特に、長期使用と若年者の使用に対するリスクの評価が重要になるだろう。またIARCは、さらに研究が進められる間、曝露を減らす具体的な対策(例えば、ハンズフリーでの使用、携帯メール)を勧めている。

携帯電話の使用と発癌リスクに関する主要な研究と見なされているInterphoneは、全般的に、脳腫瘍の最も一般的な形態である神経膠腫と髄膜腫のリスクが携帯電話使用者では増加しないと報告している。また、同研究では、通話回数、通話時間、携帯電話の使用年数の増加に伴ってリスクが増加することもない、としている。被験者のうち携帯電話の合計使用時間が最も長かったごく一部のグループでは、神経膠腫のリスクがいくぶん高かったが、研究者らはこの知見を決定的ではないと見なした。さらに、デンマークにおける大集団ベースのコホート研究によれば、脳腫瘍のリスクが増加するというエビデンスは認められていない。同集団において、脳腫瘍の発生率と死亡率が過去10年間ほとんど変わっていないことは注目すべきである。

米国国立環境健康科学研究所の国家毒性プログラム(NTP)の主導で、携帯電話の無線周波数曝露に関し、げっ歯類を用いて、これまでで最大規模の研究が進められている。NTPの研究では、携帯電話の放射線への曝露による健康被害の可能性を評価することになっている。同研究は、ヒトへの曝露を模倣するよう計画されており、米国で現在使用されている周波数および変調に基づいている。

翻訳担当者 丸野 有利子

監修 北丸 綾子(分子生物学/理学博士、実務翻訳者)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

脳腫瘍に関連する記事

FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認の画像

FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月6日、米国食品医薬品局(FDA)は、生検、亜全摘出、または肉眼的全摘出を含む手術後の感受性IDH1またはIDH2変異を有するグレード2の星細胞腫...
ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)の画像

ASCO2024:ダナファーバーがん研究所の発表(リンパ腫、乳がん、脳腫瘍)

米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)年次総会で発表された研究結果
ダナファーバーがん研究所の研究者らは、中枢神経系(CNS)リンパ腫、乳がん、神経膠芽腫の患者の治療において有望な結果をも...
FDAがBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブ承認の画像

FDAがBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブ承認

米国食品医薬品局(FDA)は4月23日、脳腫瘍の一種である低悪性度神経膠腫があり、BRAFと呼ばれる遺伝子に変異がある生後6カ月以上の小児を対象としてトボラフェニブ[tovorafen...
FDAが再発/難治性のBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブを迅速承認の画像

FDAが再発/難治性のBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年4月23日、米国食品医薬品局(FDA)は、BRAF融合遺伝子または遺伝子再構成、あるいはBRAF V600変異を有する生後6カ月以上の再発または難治...