rindopepimutが多形性膠芽腫患者の生存期間を改善
キャンサーコンサルタンツ
免疫療法薬であるrindopepimut(Rintega)は再発多形性膠芽腫(GBM)患者の生存期間を改善するとみられる。これらの知見は2015年度米国臨床腫瘍学会年次総会(5月29日~6月2日イリノイ州シカゴ)で発表され、Journal of Clinical Oncology誌で公表された。
多形性膠芽腫は、原発性脳腫瘍の中で最も一般的かつ致死的ながん種の一つである。神経系で最も多い細胞であるグリア細胞から発現する。グリア細胞は、ニューロン(脳、脊髄、神経間で刺激を伝達する細胞)の働きを促進する支持的機能を果たす。多形性膠芽腫に対する最新治療として、手術およびその後の放射線療法や化学療法がある。しかし、最も積極的な治療を施すことができたとしても、診断後1年未満で死亡する患者が多い。それゆえに、研究者らは新たな革新的治療法を評価し続けている。
rindopepimutは、上皮増殖因子受容体変異型III(EGFRvIII)と呼ばれる分子を標的とする免疫療法ワクチンである。この分子は正常細胞には存在しないものであり、がんの増殖に関与する。多形性膠芽腫患者の25~30%がEGFRvIII陽性疾患と推定されている。先行研究からの知見で、rindopepimutが再発多形性膠芽腫に有効で、特にベバシズマブ(アバスチン)などの薬剤と併用すると効果をもたらす可能性があることを示唆していた。
第2相臨床試験ReACT試験の研究者らは、EGFRvIII陽性の再発多形性膠芽腫患者72人に対するrindopepimutの評価を行った。患者は1度または2度再発しており、過去にベバシズマブによる治療を受けたことがなかった。
研究者らは患者を2つの治療群に分けた。1つはベバシズマブ+rindopepimut投与群、もう1つは標準薬(対照薬)+ベバシズマブ投与群である。6カ月経過時点でがんの増殖なしに生存している患者の割合(無増悪生存率)を評価し、同様に全無増悪生存率、全生存率、ならびに治療が奏効した患者の割合を評価した。
6カ月時点で、rindopepimut+ベバシズマブ投与群患者の方が、対照薬+ベバシズマブ投与群患者よりも良好な転帰がみられた。
・6カ月無増悪生存率は、rindopepimut+ベバシズマブ投与群患者が27%であったのに対し、対照群患者は11%であった。
・rindopepimut+ベバシズマブ投与群患者は全奏効割合が24%で、対照群患者の17%より高かった。
・18カ月時点で、rindopepimut+ベバシズマブ投与群患者の30%が生存していたのに対し、対照群患者では15%であった。
rindopepimutの最も顕著な副作用は、注射部位の軽度反応であった。
ReACT試験からの知見は完結したとは言いがたいが、最新のエビデンスはrindopepimutがEGFRvIII陽性の再発多形性膠芽腫患者に有効であることを示唆している。rindopepimut+ベバシズマブ併用投与された患者の方が、標準薬+ベバシズマブ併用投与の患者より有意に生存期間が長かった。
参考文献:
Reardon DA, Schuster J, Tran DD, et al. ReACT: Overall survival from a randomized phase II study of rindopepimut (CDX-110) plus bevacizumab in relapsed glioblastoma. Journal of Clinical Oncology. 33, 2015 (supplement; abstract 2009).
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