FDAが稀な脳腫瘍に対する初の小児向け治療薬を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年8月29日
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FDA、稀な脳腫瘍に対する初の小児向け治療薬を承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、稀な脳腫瘍である上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)の治療に使用される抗癌剤アフィニトール(エベロリムス)の新たな小児用製剤であるAfinitor Disperz(経口懸濁液用エベロリムス)を承認した。Afinitor Disperzは小児腫瘍の治療を目的として開発および承認された初の小児用製剤である。

Afinitor Disperzは、1歳以上の結節性硬化症(TSC)の患者で、手術による切除不可能なSEGAと診断された場合の治療に推奨される。Afinitor Disperzの承認以前、アフィニトールの適応は3歳以上の患者に限られていた。アフィニトールはTSC患者のSEGA治療の為、2010年に迅速承認されている。

FDA医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は次のように述べている。「Afinitor Disperzのように小児用に適切に開発された剤型は、小児の癌治療を安全かつ有効に行う上で役立ちます。また本日の承認は、小児の患者において、薬剤の有効性と、薬剤がどのように投与されるべきかという点に関して、研究を行うことの価値を示しています」。

Afinitor Disperzは成人用よりも細かな単位で処方することが可能であり、少量の水で簡単に溶けるため、錠剤を一度に飲み込むことができない患者の服薬にも有用である。

アフィニトールを製造するノバルティス社は、2010年にTSC患者のSEGA治療を適応とする迅速承認の際に用いられた28人の小児および成人患者の安全性および有効性に関するデータを更新し提供した。同社はさらに117名の小児および成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照試験において、アフィニトールの治療を受けた患者の35%で腫瘍縮小が認められたという新たな情報も示している。

Afinitor Disperzは手術による切除が不可能なSEGAの治療を必要とするTSC患者のみに使用されるべきである。SEGAの患者で最も多くみられる副作用は口内炎と呼吸器感染症である。

TSCは稀な遺伝性疾患で、脳やその他の重要な臓器に腫瘍が発生する。SEGAは緩やかに進行する腫瘍だが、脳内の正常な髄液の流れを妨げることで重篤な障害を引き起こす可能性がある。SEGAはTSCの診断基準の大症状であり、患者の6~9%でみられ、小児と青年期の患者に多い。

アフィニトールとAfinitor Disperzの有効成分であるエベロリムスは、TSC患者にみられるSEGA腫瘍の発生と成長に密接に関わるmTORたんぱく質の活動を阻害する。

アフィニトールとAfinitor Disperzは、TSC患者のSEGAの治療を適応とした迅速承認を取得したが、小児及び成人のSEGA患者における長期の安全性および有効性を更に評価する目的で臨床研究が続いている。Afinitor Disperzは希少な疾患、症状の治療に使用されることから、オーファンドラッグに分類され、FDAは優先的に承認審査を6カ月で完了させた。

アフィニトールは、次の適応で既にFDAの承認を得ている。他の治療薬が無効となった成人の進行性腎細胞癌(2009年)、成人の膵原発の進行性神経内分泌腫瘍(2011年)、緊急手術を必要としない腎血管筋脂肪腫を発症した成人TSC患者(2012年)、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の閉経後の進行乳癌でのアロマシン(エキセメスタン)との併用(2012年)。

ノバルティス社はニュージャージー州イーストハノーバーを拠点とする。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products(血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕

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遠藤豊子 訳
西川 亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修 
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原文

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