FDAがAfinitor®〔アフィニトール〕を新しい適応で承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年11月1日
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FDAがAfinitor®〔アフィニトール〕を新しい適応で承認

まれな遺伝子疾患の治療薬として新たに承認された抗癌剤

米国食品医薬品局(FDA)は、まれな遺伝子疾患である結節性硬化症(TS)に関連した上衣下巨細胞性星状細胞腫(SEGA)の患者に対する治療薬として、抗癌剤Afinitor®〔アフィニトール〕(everolimus〔エベロリムス〕)を使用することを承認した。この承認は、手術による治療が不可能なSEGA治療を適応としている。[pagebreak]TSでは、脳の他、眼、肺、肝臓、心臓、皮膚や腎臓といった臓器に良性(非癌性)腫瘍の増殖が生じる。TSは遺伝子変異の結果起こるもので、腫瘍の発生を招き、関連している可能性のある様々な症状をもたらす。症状には学習や成長の障害、皮膚異常、発作、また肺および腎臓の疾患などがある。

SEGAはTSの診断上の主要な特徴と考えられ、緩徐に増殖する腫瘍で、TS患者の6%〜9%にみられる。この疾患は、脳での腫瘍増殖に合併症を生じた患者にとっては致命的なものになる可能性がある。患者によっては手術で腫瘍増殖を取り除く手術が行われる。

FDAの医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師は「現在のところ、この疾患の患者には外科的介入以外の治療選択肢が限られている。患者に治療選択肢が少ない、あるいは全く無いようなまれな疾患について研究を続けていくことが重要である」と述べた。

本剤は、FDAの迅速承認プログラムに基づいて承認された。FDAはこのプログラムにより、臨床的有用性を合理的に予測する評価項目に基づいて、医療のニーズに対処されていない重篤な疾患を治療するための薬剤を承認できる。企業は薬剤の効果を確認するさらなる長期有効性および安全性のデータを集めるよう求められる。このプログラムにより患者は、安全性確認試験が実施されている間、有望な新薬あるいは既存の薬剤を早期に利用できるようになる。

Afinitor®は最初に、スーテント®やネクサバール®による治療が奏効しなかった腎臓癌患者への治療薬として2009年3月に承認された。

SEGAの治療に対するAfinitor®の安全性と有効性を評価するために、患者28人による単一群試験が行われた。試験開始から6カ月の時点で、患者9人(32%)において、最大のSEGA病変部の腫瘍が占める空間(腫瘍体積)が50%以上縮小した。患者9人の腫瘍が見かけ上、縮小し安定するまでの間(奏効期間)は約3カ月から2年半で、中央値は266日であった。9人のうち7人で、50%以上の腫瘍体積縮小が最後のフォローアップ時まで保持された。

試験に参加した患者では新しい腫瘍の発生はみられなかったが、完全に消失した腫瘍はなかった。この試験に参加した4人の患者は以前に手術を受けていたが、腫瘍が再発していた。Afinitor®の投与を受けた後、このうち3人に50%以上の腫瘍体積縮小がみられた。

SEGA治療のためAfinitor®を投与された患者において、最も多く報告された有害事象は、上部呼吸器感染症、副鼻腔炎および中耳炎、口内痛、発熱であった。臨床検査値異常としては、肝酵素上昇、高コレステロールおよび高トリグリセリド(高脂血症)、高血糖、また白血球、赤血球(貧血)および血小板の減少などが多くみられた。腎臓癌(腎細胞癌)を有する患者においては、肺の炎症(肺臓炎)および腎臓(腎)機能の低下も報告されている。

エベロリムスはまた、腎移植を受けた成人で軽度〜中等度の免疫リスクを有する患者について、臓器拒絶反応の予防を適応として、別の商品名Zortress®で承認を得ている。Zortress®の安全性プロファイルは今回の患者におけるものとは異なっている。詳細についてはZortress®の添付文書を参照のこと。

Afinitor®はニュージャージー州イースト・ハノーバーに本社を置くノバルティス社が販売している。

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岡田章代 訳
辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)監修 
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原文


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