2007/06/12号◆注目の臨床試験「脳腫瘍に対する食事療法+漢方薬」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年6月12日号(Volume 4 / Number 19)
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◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇

脳腫瘍に対する食事療法+漢方薬

臨床試験名

新たに診断された、または再発した高悪性度の神経膠腫患者において、低脂肪でアラキドン酸ゼロの菜食療法とボスウェリア(Boswellia serrata)の組み合わせVs標準食のみとを比べる第2相試験(CASE-CCF-7348)。試験プロトコルの要旨は以下を参照のこと。
http://cancer.gov/clinicaltrials/CASE-CCF-7348

臨床試験責任医師

Glen Stevens医師 (Cleveland Clinic Foundation)

試験の概要

高悪性度神経膠腫は成人脳腫瘍の中で最も侵襲性の強い癌であり、最も多く見られる。脳の腫れ(脳浮腫)は、しばしば神経膠腫患者において衰弱をもたらす症状であり、腫瘍の外科的切除を行ってもなお患者に影響を及ぼし続ける場合もある。

ボスウェリアの木の樹脂(乳香)は、動物実験や人での研究において浮腫の主原因である炎症を減少させることが示されている。また、実験によると、ボスウェリアの樹脂は、ヒト脳腫瘍細胞に、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を引き起こすよう誘導するとみられる。

この試験で、患者は、ボスウェリアの漢方薬を1日4回服用し、かつ低脂肪で野菜のみの食事を6ヶ月続ける群と、通常の低脂肪食6ヶ月の群に無作為に割り付けられる。アラキドン酸は、炎症を引き起こして腫瘍を増殖させるエイコサノイドと呼ばれるシグナル伝達分子に脳内で変換されるが、野菜のみの食事には、肉類に含有されるこのアラキドン酸が含まれない。医師らは、これらの患者において、ボスウェリアと菜食によって脳浮腫が軽減し腫瘍増殖が低下するかどうか、そして、アラキドン酸をエイコサノイドに変換する作用をもつ酵素5-リポキシナーゼの値を下げるかどうかを調べる。

Stevens医師は次のように語る。「乳香抽出液が脳浮腫を抑え、抗腫瘍効果をも有することは、いくつかの小規模な研究で示唆されている。食事療法と漢方薬の処方によって患者の治療効果がさらに向上し、高悪性度神経膠腫に対する標準治療の補完的役割を果たせることを希望する。」

試験の参加基準

新たに診断された、または癌の摘出術を受けた後に再発した18歳以上の高悪性度の神経膠腫患者70人を登録する予定である。適格基準については以下を参照のこと。
http://cancer.gov/clinicaltrials/CASE-CCF-7348

試験を行っている施設と問合せ先

この試験は、クリーブランドクリニック・タウシグがんセンター(Cleveland Clinic Taussig Cancer Center)で行われている。
詳細は、タウシグがんセンターまで。 1-800-862-7798(フリーダイヤル)

過去の「注目の臨床試験」については以下を参照。
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials

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野中 希  訳
平 栄 (放射線腫瘍医) 監修 

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