ctDNA血液検査は進行GIST患者の最適な治療法の決定に役立つ

「がんにおける体細胞変異は経時的に進化し、薬剤耐性をもたらす可能性がますます認識されています。治療法をリアルタイムで個別化するには、変異の全体像を評価するため、従来の侵襲的な生検以外の新たなツールが必要です。INTRIGUEの研究者チームは、進行した消化管間質腫瘍(GIST)患者のctDNAで認められた特異的な変異が、二次治療に対する反応を予測する可能性があることを発見しました。今後の研究で確認されれば、このアプローチは診療を変える可能性があります」。-Pamela Kunz 医師(ASCO消化器がん専門医)

非侵襲的な血液検査は、進行したGISTにおいて一次治療のイマチニブ(販売名:グリべック)で進行したまたは忍容性がなくなった場合に、最も有効な治療法を決定するのに役立つ可能性がある。これらの結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)プレナリーシリーズの2023年1月セッションで発表される予定である。

GIST患者の約80%がKIT(受容体型チロシンキナーゼという蛋白質の一種)の一次変異を有している。イマチニブは、KIT変異を有するGISTに対して有効だが、GIST患者の大多数は、通常、KITの二次変異の発生のために、最終的にイマチニブに対して耐性を獲得する。スニチニブ(販売名:スーテント)は一部のイマチニブ耐性変異に有効である。

第3相INTRIGUE試験では、イマチニブが効かなくなった、または、忍容性がなくなった進行GISTの成人患者453人が、リプレチニブ(販売名:Qinlock)または、ス二チニブに無作為に割り付けられた。本試験で、研究者らは、INTRIGUE試験でKITのキナーゼドメインにおける二次変異を検出するために生じた循環腫瘍DNA(ctDNA)の探索的ベースライン解析を行った。ctDNAはがん細胞から血液中に放出されるDNAのことである。

INTRIGUE試験の80%(453例中362例)のサンプルが解析され、解析対象の77%(362例中280例)でctDNAが検出され、そのうち76%(280例中213例)がKIT変異GISTを有することが確認された。KITエクソン11に加えて17/18(エクソン9/13/14変異を除く)変異を有する患者は、リプレチニブ投与時に無憎悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、全生存期間(OS)が優れていた。一方、KITエクソン11に加えて13/14(エクソン9/17/18変異を除く)変異を有する患者は、スニチニブ投与時に無憎悪生存期間、奏効率、全生存期間が優れていた。

「この非侵襲的な血液検査は、イマチニブによる一次治療中に進行したGIST患者の最も有効な薬剤を選択する非常に有用なツールになる可能性があります」とSebastian Bauer医師(ドイツ・エッセンのエッセン大学病院医師、本試験の筆頭著者)は述べた。「他の変異がなく、KITエクソン11に加えて17/18に同時変異を有する患者では、スニチニブ治療群と比較して、リプレチニブ治療群でより良好な全生存期間を示すことが、私たちの解析により明らかとなりました。私たちは、新しい重要な第3相試験でこれらのデータを検証するつもりです。それとは別に、この差の大きさは、血漿検査が将来的にGIST患者のルーチンケアのひとつになることを示唆しています」。


  • 監訳 中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院)
  • 翻訳担当者 山口みどり
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  • 原文掲載日 2023/01/23

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