FDAが、カポジ肉腫にポマリドミドを迅速承認
―Approved Drugs―
2020年5月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、ポマリドミド(販売名:ポマリスト、Celgene Corporation社)の適応を、高活性抗レトロウイルス療法が奏効しなかった成人のAIDS関連カポジ肉腫と、HIV陰性の成人のカポジ肉腫の治療に拡大した。
有効性は、国立がん研究所(NCI)が実施した非盲検単群臨床試験12-C-0047において検討された。28人(HIV陽性18人、HIV陰性10人)の患者は、28日間を1サイクルとして1日目から21日目まで1日1回、ポマリドミド5mgの経口投与を受け、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで治療を継続した。HIV 陽性患者は、全員が高活性抗レトロウイルス療法を継続した。
主要有効性評価項目は全奏効率(ORR)であり、完全奏効、臨床的完全奏効、部分奏効が含められた。奏効率は、AIDS Clinical Trial Group Oncology Committeeのカポジ肉腫に対する奏効基準に基づいて、治験責任医師が評価した。HIV陽性患者18人において、ORRは67%(95%CI:41~87)、奏効期間中央値は12.5ヵ月(95%CI:6.5~24.9)であった。HIV陰性患者10人において、ORRは80%(95%CI:44~ 98)、奏効期間中央値は10.5ヵ月(95%CI:3.9~ 24.2)であった。
ポマリドミドを投与された患者において、臨床検査値の異常を含め、最もよくみられた副作用(患者の30%以上)は、絶対好中球数の減少、白血球数の減少、クレアチニン値の増加、グルコース値の増加、発疹、便秘、疲労、ヘモグロビン、血小板、リン酸、アルブミンまたはカルシウム値の減少、ALT値の増加、悪心、下痢であった。
カポジ肉腫に対するポマリドミドの推奨用量は、28日間を1サイクルとして1日目から21日目まで1日1回、食前、食後の別なく5mgを経口投与し、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。AIDS関連カポジ肉腫患者においては、HIV治療として高活性抗レトロウイルス療法を継続する。
POMALYSTの全処方情報はこちら。(*参考:日本のポマリスト添付文書はこちら)
本適応は、全奏効率に基づき迅速承認制度のもとで承認されている。本適応の継続的な承認には、検証的試験における臨床的有用性の検証および説明が条件となる可能性がある。
ポマリドミドは、優先審査指定、画期的療法指定を受けた。FDAの迅速承認プログラムについては、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
翻訳担当者 川北 みゆき
監修 小宮 武文(肺がん・頭頸部がん/Parkview Cancer Institute)
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