新薬NBTXR3、局所進行軟部肉腫の術前治療選択肢に
NBTXR3注入とそれに続く放射線治療は、四肢および体幹壁の軟部肉腫患者に対して有効で安全(Act-In-Sarc )
放射線治療で活性化させたNBTXR3酸化ハフニウムナノ粒子による治療を受けた四肢・体幹壁の局所進行軟部肉腫患者は、放射線治療のみを受けた患者より多く病理学的奏効を示したという知見が、2018年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)(ドイツ、ミュンヘン)で発表された。
Sylvie Bonvalot氏(Institut Curie肉腫手術部長、フランス、パリ)は、新規薬剤NBTXR3を用いた多施設共同国際ランダム化非盲検第2/3相臨床試験(NCT02379845)結果を発表した。NBTXR3とは、四肢および体幹壁の局所進行軟部肉腫患者に対する酸化ハフニウムナノ粒子を用いた画期的な薬剤である。
Bonvalot教授の説明によれば、本臨床試験の発端となった軟部肉腫での第1相臨床試験では、術前放射線治療と合わせて、NBTXR3を開始時腫瘍体積の10%量で腫瘍内に1回注入投与することは技術的に可能であり、NBTXR3は臨床効果があるとともに毒性が管理可能であることが示された。
本研究NBTXR3-301では、180人の患者を無作為に割り付け、179人がNBTXR3を腫瘍内に1回注入後に放射線治療を受ける治療、または放射線治療のみを受ける治療を開始した。ITT-FASの原則に従い、176人の患者の有効性解析を考察した。
両治療群とも治療後に外科的切除を受け、軟部肉腫組織学的サブタイプに従い患者を層別化した。放射線治療には、強度変調放射線療法または2Gy / 25分率で合計50Gyまで照射する3D放射線療法がある。
主要評価項目は病理学的完全奏効率(pCRR)であり、残存腫瘍細胞が5%未満である(EORTC:欧州がん研究治療機関ガイドラインによる)患者割合で定義し、盲検中央審査委員会(BCRB)が評価した。主要副次評価項目は切除断端陰性(R0)および安全性であった。
NBTXR3+放射線治療患者群は、単独放射線治療患者群と比較して奏効率が2倍
ITT-FAS患者集団176人において、NBTXR3+放射線治療群の患者は、単独放射線治療群の患者と比べて奏効率が2倍であり、病理学的奏効率(pCRR)はNBTXR3+放射線治療群16.1%に対して単独放射線治療群7.9%(p = 0.0448)であった。
切除断端陰性(RO)率は77.0%対64.0%であった(p = 0.0424)。
全体で注射部位疼痛を経験した患者は13.5%、NBTXR3と関連性のあるグレード3および4急性免疫反応がみられた患者は7.9%であった。これらの有害事象は短期間かつ管理可能であり、自然に消失するケースもあった。
注射部位反応を除いては、NBTXR3+放射線治療の忍容性は非常に良好であり、単独放射線治療と同等の安全性プロファイルを示した。
結論
研究者らは、NBTXR3は腫瘍内注入が可能であり、注入後の放射線治療によって、単独放射線治療より高いエネルギーを蓄積、腫瘍細胞死の増加をもたらすと指摘した。
本試験で、放射線治療によって活性化されたNBTXR3は、単独放射線治療よりも有意に優れていた。さらに、肯定的な安全性プロファイルも実証された。
本試験は主要および主要副次評価項目の両方を達成した。
NBTXR3は局所進行性軟部肉腫患者だけでなく、放射線治療が適応する他のがん患者における術前治療の新たな選択肢である。
本試験著者らによれば、本試験の知見が裏付ける現在進行中のNBTXR3研究は以下のとおり:再発および転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)または転移性非小細胞肺がん(NCT03589339)、HNSCC(NCT01946867; NCT02901483)、前立腺がん(NCT02805894)、肝臓がん(NCT02721056)、直腸がん(NCT02465593)。
開示
この試験はNanobiotix社の支援をうけた。
参考文献
LBA66 – Bonvalot S, Rutkowski PL, Thariat J, et al. A phase II/III trial of hafnium oxide nanoparticles activated by radiotherapy in the treatment of locally advance soft tissue sarcoma of the extremity and trunk wall.
原文掲載日
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