若年者の再発/難治性ユーイング肉腫にEWS-FLI1転写阻害薬が有望

MD アンダーソンがんセンター

非常に悪性度の高い骨がんであるユーイング肉腫(ES)の思春期・若年成人は、治療の選択肢が少なく、再発後の予後も不良である。 Joseph Ludwig医師が共同で主導した多施設共同第1/2相臨床試験では、治療歴のある再発または難治性のユーイング肉腫患者を対象に、新規の低分子化合物TK216が発がん性融合タンパク質EWS-FLI1を阻害する能力を検討した。この試験では、11歳から77歳までのユーイング肉腫患者85人にTK216が持続点滴静注された。2人に完全奏効、1人に部分奏効、14人に病勢安定が認められ、抗腫瘍効果が示された。1人の患者は5回のユーイング肉腫再発後に完全奏効を達成し、試験開始後55カ月以上ユーイング肉腫を発症していない。これらの知見は、ユーイング肉腫や他の肉腫において特徴的な融合タンパクを標的とする、有望な薬剤候補調査への道筋を示唆している。詳しくはJournal of Clinical Oncology誌を参照。。

MDアンダーソン研究ハイライト2024/07/11: がんの発生と進化における発見、ユーイング肉腫、乳がん、肺がんの治療法の改善、新しい疾患分類

テキサス大学 MD アンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、MD アンダーソンの専門家による最近の基礎研究、トランスレーショナル研究、臨床がん研究の概要を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者による、垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。

MDアンダーソンにおける最近の進展は、代謝プログラミングと細胞老化を制御するメカニズムに関する洞察、ユーイング肉腫患者に対する新たな治療選択肢、肺がんにおけるRAS阻害薬の有効性を高める個別化治療戦略、BRCA関連乳がんに対する実行可能な治療選択肢としての乳房温存療法、抗腫瘍活性を損なうことなく重篤な免疫療法の副作用を軽減すること、骨髄性腫瘍の新たな疾患分類などである。


  • 監訳 野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)
  • 翻訳担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/07/11

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