FDAが切除不能/転移性滑膜肉腫にアファミトレスゲン オートルーセルを迅速承認
米国食品医薬品局(FDA)
2024年8月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、化学療法歴があり、HLA-A*02:01P、-A*02:02P、-A*02:03P、-A*02:06P陽性で、FDA承認または認可されたコンパニオン診断により腫瘍がMAGE-A4抗原を発現している切除不能または転移性の滑膜肉腫を有する成人患者を対象に、メラノーマ関連抗原A4(MAGE-A4)指向性の遺伝子組換え自己T細胞免疫療法であるafamitresgene autoleucel[アファミトレスゲン オートルーセル](販売名:TECELRA、Adaptimmune社)を迅速承認した。
有効性は、多施設、単群、非盲検臨床試験であるSPEARHEAD-1のコホート1で評価された。この試験には、ドキソルビシンおよび/またはイホスファミドによる全身療法を受けたことがあり、腫瘍がMAGE-A4腫瘍抗原を発現しているHLA-A*02:01-03および06対立遺伝子陽性の手術不能または転移性滑膜肉腫患者が組入れられた。患者はフルダラビンとシクロホスファミドによるリンパ球除去化学療法を受けた。
滑膜肉腫患者52人が組入れられ、白血球アフェレーシスを受けたが、そのうち8人は死亡(n = 3)、リンパ球除去化学療法前の適格性喪失(n = 3)、患者都合による中止(n = 1)、治験責任医師の決定(n = 1)により、アファミトレスゲン オートルーセルの治療を受けなかった。45名の患者がリンパ球除去療法を受け、1名の患者が治療前に同意を取り下げたため、合計44名の患者がアファミトレスゲン オートルーセルの単回注入を受けた。
主な有効性の評価指標は、独立評価機関によるRECIST v1.1による奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。ORRは43.2%(95%信頼区間[CI]:28.4、59.0)であった。奏効までの期間中央値は4.9週(95%CI:4.4週、8週)であった。DOR中央値は6カ月(95%CI:4.6、未到達)であった。治療効果が認められた患者のうち、奏効期間が6カ月以上であった患者は45.6%、12カ月以上であった患者は39.0%であった。
処方情報には、重篤または致死的なサイトカイン放出症候群(CRS)に関する枠囲み警告が記載されている。
臨床検査値異常を除いて特に多く認められた副作用(20%以上)は、サイトカイン放出症候群、悪心、嘔吐、疲労、感染症、発熱、便秘、呼吸困難、腹痛、非心臓性胸痛、食欲低下、頻脈、背部痛、低血圧、下痢、浮腫であった。特に多く認められたグレード3または4の臨床検査値異常(20%以上)は、リンパ球数減少、好中球数減少、白血球数減少、赤血球数減少、血小板数減少であった。
推奨されるアファミトレスゲン オートルーセルの投与量は、2.68 x 109から10 x 109のMAGE-A4 T細胞受容体(TCR)陽性T細胞を1つまたは複数の輸液バッグを用いて投与することである。白血球除去フィルターの使用や副腎皮質ステロイドの予防的全身投与を行ってはならない。
TECELRAの全処方情報はこちらに掲載予定である。
- 監訳 遠藤 誠 (肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院)
- 翻訳担当者 後藤 若菜
- 原文を見る
- 原文掲載日 2024年8月2日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
FDA承認情報に関連する記事
FDAが標的IDH1/2変異のあるグレード2星細胞腫または乏突起膠腫にボラシデニブを承認
2024年9月25日
FDAが、非小細胞肺がんにラゼルチニブとアミバンタマブ併用を承認
2024年9月4日
FDAが再発/難治性のBRAF変異陽性小児低悪性度神経膠腫にトボラフェニブを迅速承認
2024年5月12日
FDAがBCG不応性の筋層非浸潤膀胱がんにノガペンデキン アルファ インバキセプトを承認
2024年5月12日