骨転移を伴うユーイング肉腫には全身MRIに基づく放射線治療と自家幹細胞移植の併用が有望

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

ドイツの研究者らは、ユーイング肉腫患者の治療には、大量化学療法とMRIで検出された骨病変に対する放射線療法の併用が有効と報告した。研究の詳細は2010年3月発行Bone Marrow Transplantation誌に掲載された。[1]

ユーイング肉腫ファミリー腫瘍は、化学療法への感受性が高いが、一旦再発すると治癒は困難である。ユーイング肉腫に対する大量化学療法の位置づけには賛否両論あるものの、小児および若年層患者を治療しているほとんどの施設において、施行されている。フレッド・ハチンソン癌研究所の最近の報告によると化学療法に反応した患者の長期生存率は46%であったが、再寛解導入化学療法に抵抗性の患者では0%であった。またタンデム移植はシングル移植よりも効果が高く、シングル移植の生存率20%に対し、タンデム移植では75%であった。さらに本研究では移植レジメンとして全身放射線照射を行った患者のほうがより好ましい転帰を得た。

今回の研究では全身放射線照射は行わなかった。その代わりに、転移性ユーイング肉腫を伴う患者11人に対し、全身のMRIスキャンにより確認された骨組織病変部にのみ放射線を照射した。11人中6人は肺病変を併発していた。患者らは寛解導入化学療法を受け、MRIで異常のみられた全部位に放射線を照射した。引き続き自家造血幹細胞移植による骨髄救済を行った。コントロール群26人は同様の治療法ではあるがMRIガイド下放射線治療は受けなかった。MRIガイド下放射線治療群の5年生存率は45%、コントロール群は8%であった。

コメント:これらの結果は先に報告された全身放射線療法を含むレジメンによる治療結果と合致している。これらの観察結果についてはランダム化コントロール試験による確認が必要である。

参考文献:
[1] Burdach S, Thiel U, Schoniger M, et al. Total body MRI-governed involved compartment irradiation combined with high-dose chemotherapy and stem cell rescue improves long-term survival in Ewing tumor patients with multiple primary bone metastases. Bone Marrow Transplantation. 2010;45:483-489.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 武内 優子

監修 寺島 慶太(小児血液腫瘍・神経腫瘍学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肉腫に関連する記事

トラベクテジン併用化学療法は平滑筋肉腫患者の延命に役立つ の画像

トラベクテジン併用化学療法は平滑筋肉腫患者の延命に役立つ 

何十年もの間、化学療法薬であるドキソルビシンは、多くの種類の進行肉腫(身体の骨や軟部組織から発生するがん)患者に対する主力薬であり続けている。以前に検証されたドキソルビシン+他の化学療...
FDAが進行滑膜肉腫にアファミトレスゲン オートルーセルによるT細胞受容体療法を正式承認の画像

FDAが進行滑膜肉腫にアファミトレスゲン オートルーセルによるT細胞受容体療法を正式承認

8月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、軟部肉腫の一種である転移性滑膜肉腫の一部患者の治療をを目的として、afamitresgene autoleucel[アファミトレスゲン オートル...
若年者の再発/難治性ユーイング肉腫にEWS-FLI1転写阻害薬が有望の画像

若年者の再発/難治性ユーイング肉腫にEWS-FLI1転写阻害薬が有望

MD アンダーソンがんセンター非常に悪性度の高い骨がんであるユーイング肉腫(ES)の思春期・若年成人は、治療の選択肢が少なく、再発後の予後も不良である。 Joseph Ludwig医師...
FDAが切除不能/転移性滑膜肉腫にアファミトレスゲン オートルーセルを迅速承認の画像

FDAが切除不能/転移性滑膜肉腫にアファミトレスゲン オートルーセルを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年8月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、化学療法歴があり、HLA-A*02:01P、-A*02:02P、-A*02:03P、-A*02:06P陽性で...