血管成長を抑える薬剤がエイズ関連カポジ肉腫治療に役立つ可能性

NCIニュースノート

エイズ関連癌の一つであるカポジ肉腫(KS)の患者で、血管新生阻害剤ベバシズマブと高活性抗レトロウイルス治療(HAART)の併用療法後に改善がみられた。HAARTはエイズ関連KSの治療において不可欠であるが、病状が進行した患者の場合、HAARTのみでは十分な効果が得られないという課題もある。エイズ関連KSでは、ドキシル(リポソーマルドキソルビシン)とHAARTの併用療法が一般的であるが、蓄積性の心臓毒性により、規定の安全投与量を超えて使用できない。米国国立癌研究所(NCI)の研究者は、今回の第2相試験の結果により、ベバシズマブとHAARTの併用療法がエイズ関連KSの患者にとって有益な新治療選択となりうることを示唆した。この研究結果はJournal of Clinical Oncology誌3月19日号に掲載されている。

KS腫瘍の進行は血管新生によるものである。皮膚または口腔内に病変が生じ、重症になるとリンパ節や肺、他の臓器にも及ぶ。ベバシズマブは血管新生を阻害することが知られており、NCIの研究者らはKS腫瘍の増大を抑える可能性を調査した。この研究では、HAART治療中の 17人のエイズ関連KS患者を対象に、ベバシズマブレジメンを中央値10サイクル実施した。臨床試験参加者の多くは最も進行したKS患者であり、評価可能であった16人のうち31%で部分寛解または完全寛解がみられた。さらには、ベースラインの腫瘍関連浮腫(組織細胞間での過剰な漿液性の体液貯留)があった11人の患者のうち8人で改善がみられた。6人が患肢の腫瘍周辺部において2センチ以上の縮小がみられた。また、5人で痛みの減少や自覚的な運動性・活動性の向上が得られた。

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遠藤豊子 訳
東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院)監修 
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原文

翻訳担当者 遠藤豊子

監修 東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院)

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