化学療法にフォスブレタブリン・トロメタミン(CA4P)を追加することで、進行性甲状腺癌の生存率を改善する可能性

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進行性甲状腺未分化癌の患者に対して、標準化学療法にFosbretabulin tromethamine[フォスブレタブリン・トロメタミン](CA4P)を追加投与した場合、標準化学療法のみの場合と比較して、1年生存率が改善した。この結果は、本年開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表された。[1]

甲状腺とは、咽喉の基部に位置し、主に身体の代謝過程に関連するホルモンを産生する内分泌腺である。甲状腺内で癌化する細胞の性質によって、甲状腺癌の組織型は異なる。

甲状腺未分化癌(ATC)は、甲状腺癌の中では稀な組織型であり、非常に悪性度が高い。進行性甲状腺未分化癌の治癒率は未だ高いとはいえず、臨床試験において新たな治療薬が検討され続けている。

Fosbretabulin tromethamineは、米国食品医薬品局(FDA)未承認の薬剤であるが、現在臨床試験の最終段階にある。これまでに実施された臨床研究では、本薬剤は、腫瘍細胞への血流量を減少させることによって抗腫瘍効果を発揮し、甲状腺未分化癌に対する活性を示した。

ヨーロッパ、インドおよび米国の研究者らが最近、進行性甲状腺未分化癌の治療におけるCA4Pの効果をさらに検討するため、第2相/第3相臨床試験を実施した。本試験(FACT試験)の対象者は、カルボプラチン+パクリタキセルの併用化学療法にCA4Pを追加、またはカルボプラチン+パクリタキセルのみの治療を受けた患者80人であった。

  • CA4P+化学療法群の1年生存率は改善した。CA4P+化学療法群の1年生存率は27%であったのに対して、化学療法単独群ではわずか9%であった。
  • CA4P+化学療法群は化学療法単独群と比較して、低グレードの高血圧および免疫細胞低下の発現頻度が高かったものの、CA4Pによる治療には十分な忍容性があった。

著者らは、「ATC患者を対象として現在までに実施された試験の中で、最も大規模な前向きランダム化比較試験である本試験によって、CA4Pが1年生存率を3倍にし、全生存期間を改善させることが示唆される」と述べた。

参考文献:

[1] Sosa J. A., Elisei R., Jarzab B., et al. A randomized phase II/III trial of a tumor vascular disrupting agent fosbretabulin tromethamine (CA4P) with carboplatin (C) and paclitaxel (P) in anaplastic thyroid cancer (ATC): Final survival analysis for the FACT trial. Paper presented at the 2011 meeting of the American Society of Clinical Oncology. Abstract 5502.


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翻訳担当者 濱田 希

監修 須藤 智久 (臨床薬学修士/国立がん研究センター 東病院 臨床開発センター)

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