FDAが一部の後期肺癌に対してXalkori(クリゾチニブ)とコンパニオン診断薬を承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年8月26日
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FDAが一部の後期肺癌に対してXalkori(クリゾチニブ)とコンパニオン診断薬を承認
診断薬とともに承認された今年で2件目の標的治療
米国食品医薬品局(FDA)は本日、末期(局所進行あるいは転移性)の非小細胞肺癌(NSCLC)で未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子変異を呈する患者の治療薬として、Xalkori(crizotinib 〔クリゾチニブ〕)を承認した。
Xalkoriは、患者にALK遺伝子変異があるかどうかの判定に有用なコンパニオン診断薬とともに承認された。この診断薬はVysis ALK Break Apart FISH Probe Kitと呼ばれ、この種の遺伝子検査薬としては初めてとなる。今年に入り、こうした標的治療薬がFDAに承認されたのは2件目である。
ALK遺伝子変異は、癌の発現および増殖の要因となる。NSCLC患者の約1%から7%がALK遺伝子に異常があり、この種の肺癌患者は一般的に非喫煙者である。Xalkoriは、異常なALK遺伝子により産生されるタンパク質を含むキナーゼと呼ばれるタンパク質を阻害することで作用する。Xalkoriは1日2回摂取する経口薬剤で単剤治療として使われる。
「特定の診断薬とともにXalkoriが承認されたことで、この薬剤が奏効する可能性の高い患者を選定することができる」と、FDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。「Xalkoriのような標的治療は、こうした癌患者の治療で非常に重要な選択肢であり、最終的には副作用も少ない可能性がある」。
Xalkoriの安全性および有効性は、ALK遺伝子陽性の末期NSCLC患者255人を登録した2件の多施設共同単群試験により確立された。患者の登録前に肺癌組織から検体を採取し、AKL遺伝子変異の有無を検査した。これらの臨床試験は、客観的奏効率すなわち癌が完全または部分縮小した患者の割合を測定するように設計された。試験に登録した患者のほとんどは前治療として化学療法を受けていた。
一件目の試験では客観的奏効率が50%、奏効期間中央値は42週間だった。他方の試験では客観的奏効率が61%、奏効期間中央値は48週間だった。
FDAは一方の試験データをもとに、Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitを承認した。
Xalkoriは、FDAの優先審査プログラムで審査された。同プログラムは、治療に大きな進歩をもたらす可能性がある薬剤や、他に適切な治療法が存在しない場合に治療が提供できる薬剤を、6カ月間という短期間で迅速審査するものである。
Xalkoriは、FDAの迅速承認制度のもとで承認されている。迅速承認制度では、FDAは重篤な疾患の治療薬剤に対して、患者の臨床的有益性を予見しうる臨床評価項目で有効性が示されれば、その薬剤の臨床データに基づいて承認できる。この制度は、患者が早期に有望な新薬を使えることを目的としているが、薬剤の臨床的有益性を裏づけるための試験がその後さらに行われることになる。
Xalkoriおよびコンパニオン診断薬のVysis ALK Break Apart FISH Probe Kitは、薬剤の目標承認日である2011年9月30日、またコンパニオン診断薬の目標承認日2011年9月28日に先立って承認された。
「腫瘍学研究のトレンドは標的治療に向かい続けている」と、FDA医療機器・放射線保健センターのIn Vitro診断装置評価・安全性局(Office of In Vitro Diagnostic Device Evaluation and Safety)局長であるAlberto Gutierrez博士は述べた。「この試験は、生命にかかわる重篤な疾患を抱える患者に最も安全で有効な治療の迅速な提供を決定するうえで、コンパニオン診断薬が果たす役割の重要性を表す一例である」。
Xalkori投与群で最も多く報告された副作用には、視覚障害、悪心、下痢、嘔吐、腫脹(浮腫)、および便秘が含まれる。視覚障害には、視力障害、閃光、かすみ目、飛蚊症、重視、光に対する敏感症、視野の異常などが含まれる。Xalkoriの使用は生命にかかわる可能性のある肺組織の炎症(肺炎)とも関連していた。治療による肺炎を呈する患者は、Xalkoriでの治療は恒久的に中止すること。またこの薬剤は妊婦には使用できない。
2011年7月、FDAはコンパニオン診断薬とそれに対応する薬剤療法に関する審査の方針についてのガイダンス(草案)を製薬企業向けに発行した。ガイダンスは現在、パブリック・コメントを受け付けている。
Xalkoriはニューヨークに拠点を置くファイザー社が販売している。Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitは、イリノイ州デス・プレーンズのAbbot Molecular社が販売している。
詳細については下記も参照のこと。
FDA: ガイダンス(草案)-In Vitroコンパニオン診断薬
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片瀬 ケイ 訳
大渕 俊朗 (呼吸器・乳腺内分泌・小児科/福岡大学医学部)監修
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