再発または難治性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するスーテント®の連日投与による苦痛緩和

キャンサーコンサルタンツ
2009年11月

アメリカとスペインの医療関連施設の研究者は、連日のスーテント®(スニチニブ)単剤投与により、進行非小細胞肺癌(NSCLC)で治療歴のある患者の病勢コントロール率が25%であったと考えられると報告している。この試験の詳細は2009年11月4日のBritish Journal of Cancer誌に掲載されている。

スーテント®はfms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、Kit、血管内皮増殖因子(VEGF)、および血小板由来増殖因子(PDGF)受容体等に作用する経口のキナーゼ阻害薬である。 

スーテント®は目標となるこれらの構造物を介して、癌細胞を直接死滅させるメカニズムはもちろん抗血管新生も含む抗癌作用を発揮する。スーテント®は進行腎細胞癌および、グリベック®(イマチニブ)を使用してもなお進行する、もしくは副作用に耐えられない*③消化管間質腫瘍の治療においても評価されている。

過去の国際多施設試験によると、スーテント®は治療歴のある進行非小細胞肺癌において、有効な単剤での活性を有するとのことである。この第2相臨床試験は、プラチナ製剤を用いた療法で進行した63人の患者を含んでいる。患者は50mgのスーテント®を4週間毎日服用し、その後2週間休薬する。11%が部分寛解、29%は少なくとも8週間の状態安定を得られた。副作用は倦怠感、吐き気、息切れ、嘔吐、食欲不振、下痢であった。2人が肺出血、1人が脳出血で死亡した。

今回の試験では、他の療法で進行がみられた、進行非小細胞肺癌の患者47人に対し継続的なスーテント®の投薬を評価した。2%が部分寛解で、23.4%で最低8週間の状態安定がみられた。5人が6カ月以上の状態安定をえられた。無増悪生存期間中央値は12週で、全生存期間中央値は37週であった。1年生存率は38%であった。毒性プロフィールは過去の試験より少ないと思われた。

コメント
単剤でスーテント®を毎日服用することは、難治性の進行非小細胞肺癌患者にとって、充分耐えうるものであり、苦痛緩和の重要な要素になりうる。

参考文献:
[1] Novello S, Seagliotti GV, Rosell R, et al. Phase II study of continuous daily sunitinib dosing in patients with previously treated advanced non-small cell lung cancer. British Journal of Cancer. 2009;101:1543-1548.


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翻訳担当者 高梠 万里江

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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