FDAが非小細胞肺がんの併用療法にセミプリマブを承認

2022年11月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、上皮成長因子受容体(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、またはc-ros oncogene 1(ROS1)の遺伝子に異常のない進行した非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対し、プラチナ製剤を含む化学療法との併用にcemiplimab-rwlc [セミプリマブ](販売名:Libtayo、Regenon Pharmaceuticals社)を承認した。

有効性は、全身治療歴がない進行非小細胞肺がん患者466人を対象とした、ランダム化、多施設共同、多国間、二重盲検、実薬対照比較試験である16113試験(NCT03409614)において評価された。患者は、cemiplimab+プラチナ製剤を含む化学療法を3週間ごとに4サイクル投与した後にcemiplimab+維持化学療法を行う群と、プラセボ+プラチナ製剤を含む化学療法を3週間ごとに4サイクル投与した後にプラセボ+維持化学療法を行う群に2:1で無作為に割り付けられた。

有効性の主要評価項目は全生存期間(OS)であった。また、有効性の副次的評価項目は、盲検下独立判定委員会の評価による無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)であった。

Cemiplimab+プラチナ製剤を含む化学療法の併用療法では、プラセボ+化学療法の併用療法と比較して、OSに統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示された(ハザード比[HR]0.71[95%CI:0.53、0.93]、両側p値=0.0140)。OS中央値は、cemiplimab+化学療法群で21.9カ月(95% CI: 15.5, 評価不能)、プラセボ+化学療法群で13.0カ月(95% CI: 11.9, 16.1 )であった。盲検下独立判定委員会によるPFS中央値はcemiplimab+化学療法群で8.2カ月(95% CI: 6.4, 9.3)、プラセボ+化学療法群で5.0カ月(95% CI: 4.3, 6.2) (HR 0.56; 95% CI: 0.44, 0.70, p < 0.0001)であった。 盲検下独立判定委員会により確認された奏効率は、cemiplimab+化学療法群で43%(95%CI:38、49)、プラセボ+化学療法群で23%(95%CI:16、30)であった。

主な副作用(15%以上)は、脱毛症、筋骨格痛、悪心、疲労、末梢神経障害、食欲不振であった。

Cemiplimabの推奨用量は350 mgで、3週間ごとに経静脈投与する。Cemiplimabに併用する薬剤の推奨投与量情報は、必要に応じて、その薬剤の処方情報を参照のこと。

Libtayoの全処方情報はこちらを参照。

監訳:吉松 由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)

翻訳担当者 原 久美子

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性の画像

肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性

世界的に肺がんはがんによる死亡原因のトップであるが、その心理的、身体的な影響についてはほとんど研究されていない。オハイオ州立大学総合がんセンター アーサー・G・ジェームズがん病院および...
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライトの画像

欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト

ESMOアジア会議2024は、アジア地域における集学的腫瘍学に特化した年次イベントである。新しい治療法、特定のがん種の管理に関する詳細な議論、アジア全域を対象とした臨床試験、アジア地域...
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認の画像

米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認

2024年12月4日、米国食品医薬品局は、以下の成人を対象にzenocutuzumab-zbco[ゼノクツズマブ-zbco](Bizengri[販売名:ビゼングリ]、Merus NV社...
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効の画像

STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...