FDAが早期肺がんにニボ+プラチナ製剤2剤併用療法による術前療法を承認

2022年3月4日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対するネオアジュバント療法(術前薬物療法)として、ニボルマブ(販売名:オプジーボ、Bristol-Myers Squibb Company社)とプラチナ製剤を含む2剤化学療法による併用療法を承認した。

早期NSCLCのネオアジュバント療法をFDAが承認したのは今回が初めてである。

有効性はCHECKMATE-816試験(NCT02998528)において、切除可能、組織学的ステージIB(4cm以上)、II、またはIIIAのNSCLC(AJCC/UICC病期基準)、および、病変測定可能(RECIST v1.1)な患者を対象に無作為化、非盲検試験で評価した。患者は腫瘍のPD-L1発現を問わず登録された。合計358名の患者は、ニボルマブとプラチナ製剤を含む2剤化学療法を3週間ごとに最大3サイクル投与する群、またはプラチナ製剤を含む2剤化学療法を同じスケジュールで投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。

有効性主要評価項目は、盲検下独立中央判定による無イベント生存期間(EFS)と病理学的完全奏効(pCR)であった。EFS中央値は、ニボルマブ+化学療法群で31.6カ月(95%CI:30.2、未達)、化学療法単独群で20.8カ月(95%CI:14.0、26.7)であった。ハザード比は0.63(97.38%CI: 0.43, 0.91、p=0.0052)であった。pCR率はニボルマブ+化学療法群で24%(95%CI: 18.0, 31.0)、化学療法単独群で2.2%(95%CI: 0.6, 5.6)であった。

最も発現頻度の高い有害反応(発現率20%以上)は、悪心(吐き気)、便秘、疲労、食欲不振、発疹であった。化学療法にニボルマブを追加しても、手術の延期や中止には至らなかった。根治手術後の入院日数の中央値、および手術時合併症と判定された有害反応の発生率は、両群間で同程度であった。

ニボルマブの推奨用量は360mgで、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と同日に投与することを3週間ごとに3サイクル行う。

Opdivoの全処方情報はこちらを参照。(日本語の添付文書はこちらを参照)

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 稲尾崇(呼吸器内科/神鋼記念病院 呼吸器内科)

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