単剤免疫療法抵抗性の非小細胞肺がんにデュルバルマブ+トレメリムマブ併用が有効
免疫療法薬単剤に抵抗性を示す非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一部において、2剤の併用が、がんを攻撃する免疫システムの歯止めを解除し、腫瘍の増殖を抑制することが最近の臨床試験で示された。しかし、2剤併用レジメンに放射線療法を追加しても転帰は改善しなかったと、ダナファーバー・ブリガムがんセンター(Dana-Farber Brigham Cancer Center)などの研究者が新たな試験で報告している。
2022年1月13日にThe Lancet Oncology誌オンライン版に掲載された本論文は、免疫チェックポイント阻害薬として知られる薬剤を他の治療法と併用することで、互いの効果を拡大しようとする広範な取り組みの一環である。この新たな試験は、がん患者において放射線療法と免疫療法を併用することを検証した最初の試験の一つである。放射線療法が2剤併用の効果を高めなかったという事実は、今後の試験で異なる併用療法を検討するべきであることを示唆している、と研究著者らは述べている。
「PD(L)-1阻害薬として知られるチェックポイント阻害薬に効果を示さない非小細胞肺がん患者には治療の選択肢がほとんどありません。この試験では、PDL-1阻害薬に、異なる免疫チェックポイントタンパクであるCTLA-4を標的とする薬剤を併用する試験を行いました。この方法は、実験室での研究において期待できる結果を示しましたが、PD(L)-1阻害薬に対して抵抗性を示す非小細胞肺がん患者を対象とした大規模な試験は行われていません」と、ダナファーバー・ブリガムがん研究所の筆頭著者である公衆衛生学修士のJonathan Schoenfeld医師は述べている。
「この併用療法により、一部の患者さんにおいてがんを制御できることが判明しただけでなく、私たちの実験室での研究により、どの患者さんにこの効果があるのかを判断する方法が示唆されました」。
本試験は、がん患者におけるチェックポイント阻害薬と他の治療法との併用に関する一連の研究の一部である。このチェックポイント阻害薬は、本来なら免疫系の攻撃から腫瘍を保護するはずの、がん細胞または免疫細胞にある「チェックポイント」タンパクを抑制することにより作用する。このような薬剤は特定の種類のがんに対して高い効果があることが証明されているが、他の多くのがん種においては単剤ではあまり効果が認められていない。
期待できる解決策の一つは、チェックポイント阻害薬と放射線療法を併用することであった。この併用療法の第2相臨床試験では、転移性非小細胞肺がん患者において有望な結果を示したが、最も効果的な放射線照射量は明らかにされなかった。
この新たな試験では、PD(L)-1阻害薬に対して抵抗性を示す非小細胞肺がん患者に関する問題に答えるために、PDL-1阻害薬とCTLA-4阻害薬を併用し、放射線療法の有無による評価を行うことを目的とした。
本試験には米国の18のがんセンターで78人の患者が参加し、患者全員にデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)(腫瘍細胞に存在するPD-L1チェックポイントタンパクを標的としたもの)およびトレメリムマブ(CTLA-4を標的としたもの)を投与した。それに加え、患者の3分の1に低線量放射線療法による治療を行った後にデュルバルマブを投与した。さらに、3分の1は高線量「寡分割照射」による治療を行った後にデュルバルマブを投与した。
放射線療法を受けた患者と免疫療法薬のみを投与した患者との間に奏効率の差は認められなかった。しかし同時に、患者の約30%が病勢を制御でき、そのうちの10%は治療に対して長期反応を示した。これは、すべての患者がPD(L)-1阻害薬に対する抵抗性を示すがんであったことを考えると、素晴らしい結果である。
本試験の一環として、研究者は患者の腫瘍組織のサンプルを分析した。その結果、腫瘍に免疫系T細胞が多く存在する患者は、腫瘍組織にT細胞が少ない患者よりも治療に反応する可能性が高いことが判明した。
「われわれの知見は、デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法が、PD(L)-1療法を受けた後に増悪した非小細胞肺がん患者に効果をもたらすかさらに検討する必要があることを示唆しています」とSchoenfeld医師は述べた。「これらの薬剤や類似の薬剤の今後の試験において、腫瘍組織のT細胞浸潤を分析することで、この種の治療から最も恩恵を受ける患者を特定できるかもしれません」。
本試験は、米国国立衛生研究所とダナファーバーによる助成金(UM1 CA186709、UM1 CA186709のBiomarker Supplement)の交付を受けた。このほか、助成金U24CA224331およびU24CA224316の交付も受けた。
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