FDAが非小細胞肺がんにセミプリマブを承認

2021年2月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、進行非小細胞肺がん(NSCLC)(外科的切除や根治的化学放射線療法の適応とならない局所進行または転移のみられるNSCLC)で、腫瘍がPD-L1高発現であることがFDA承認検査で確認され( 腫瘍比率スコア[TPS] > 50%)、EGFR、ALKまたはROS1異常を有さない患者の初回治療薬として、セミプリマブ(販売名:Lybtayo[リブタヨ]、Regeneron Pharmaceuticals, Inc.社)を承認した。

有効性は、多施設ランダム化非盲検試験である試験1624(NCT03088540)において評価された。この試験は、外科的切除や根治的化学放射線療法の適応とならなかった局所進行または転移のみられる非小細胞肺がん(NSCLC)患者710人を対象とした。患者は1:1に無作為に割り付けられ、セミプリマブ350mgを3週間ごとに最長108週間静脈内投与されるか、プラチナ製剤ベース化学療法を受けた。主要有効性評価項目は、盲検独立中央判定(BICR)による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)であった。

この試験では、プラチナ製剤ベース化学療法を受けた患者と比較して、セミプリマブを投与された患者の全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意に延長したことが示された。OS中央値は、化学療法群で14.3カ月(95%信頼区間[CI]:11.7~19.2)であったのに対し、セミプリマブ群では22.1カ月(95%CI:17.7~未到達)であった(ハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.53~0.87、p=0.0022)。盲検独立中央判定(BICR)によるPFS中央値は、セミプリマブ群で6.2カ月(95%CI:4.5~8.3)、化学療法群で5.6カ月(95%CI:4.5~6.1)であった(HR:0.59、95%CI:0.49~0.72、p<0.0001)。BICRによって確認された奏効率(ORR)は、セミプリマブ群および化学療法群でそれぞれ、37%(95%CI:32~42)および21%(95%CI:17~25)であった。

試験1624において、セミプリマブを単剤投与した場合に最もよくみられた副作用(10%以上)は、筋骨格系疼痛、発疹、貧血、疲労、食欲減退、肺炎、咳であった。

非小細胞肺がん(NSCLC)治療でのセミプリマブの推奨用量は350mgであり、3週間ごとに30分かけて静脈内投与を行う。

Libtayoの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 工藤章子

監修 田中謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/九州大学病院 呼吸器科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効の画像

免疫療法薬2剤併用+化学療法はSTK11/KEAP1変異肺がんに有効

進行非小細胞肺がんでSTK11/KEAP1変異を有する患者への併用療法により転帰が改善

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...
先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させるの画像

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解(引用)
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)の画像

世界肺癌学会2024で発表されたMDアンダーソン演題(非小細胞肺がん)

特集:術前・術後の免疫療法、HER2およびEGFR遺伝子変異を標的とした治療など、肺がん治療における有望な臨床的進歩テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは...
肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長の画像

肺がん手術と腫瘍病理診断の質の向上により術後生存期間が延長

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「過去15年間にわたり、ミシシッピ・デルタ中心部における質改善の取り組みは、この高リスク集団の...