FDAがRET融合遺伝子を有する肺がんにプラルセチニブを承認

2020年9月4日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAが承認した検査で検出された転移RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者にプラルセチニブ(GAVRETO、Blueprint Medicines Corporation社)を迅速承認した。

本日、FDAはプラルセチニブのコンパニオン診断薬としてOncomine Dx Target(ODxT)試験(Life Technologies Corporation社)も承認した。

有効性は、腫瘍にRET遺伝子変異が認められる患者を対象とした多施設、非盲検、マルチコホート臨床試験(ARROW、NCT03037385)で検討された。RET遺伝子変異の同定は、試験実施地域の検査施設にて、次世代シークエンシング、蛍光in situハイブリダイゼーション、その他の検査のいずれかを用いて前向きに判定された。主要有効性評価項目は、RECIST 1.1を用いて盲検独立審査委員会により決定された奏効率(ORR)および奏効期間であった。

RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する有効性は、プラチナ製剤による化学療法を受けた患者87人を対象に評価された。対象患者の奏効率(ORR)は57%(95%信頼区間[CI]:46%~68%)であり、奏効した患者の80%が6カ月以上の奏効を示した。全身治療を受けたことのない患者27人でも有効性が評価された。そのORRは70%(95%CI:50%~86%)であり、奏効した患者の58%で奏効が6カ月以上持続した。

臨床検査値の異常を含む最もよくみられる副作用(25%以上)は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加、ヘモグロビン減少、リンパ球減少、好中球減少、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加、クレアチニン上昇、アルカリホスファターゼ増加、疲労、便秘、筋骨格系疼痛、カルシウム低下、高血圧、ナトリウム低下、リン酸低下、血小板減少であった。

プラルセチニブの推奨用量は、1日1回400mgを経口投与する。プラルセチニブは空腹時に服用する(プラルセチニブ服用の少なくとも2時間前と1時間後には食物を摂取してはならない)。

GAVRETOの全処方情報はこちらを参照。

本審査には、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。本申請は、FDAの目標期日の約3カ月前に承認された。

この申請は、奏効率および奏効期間に基づいて迅速承認された。本適応の継続的な承認には、検証的試験での臨床的有用性の検証が条件となる可能性がある。

本申請は、優先審査、画期的治療薬およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定された。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 木村素子

監修 稲尾 崇 (呼吸器内科/神鋼記念病院 呼吸器内科)

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