転移非小細胞肺がんの初回治療にラムシルマブ+エルロチニブを承認

米国食品医薬品局(FDA)は2020年5月29日、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン19欠失またはエクソン21(L858R)変異を有する転移非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療薬として、ラムシルマブ(販売名:Cyramza[サイラムザ]、Eli Lilly and Company社)とエルロチニブの併用を承認した。

EGFRエクソン19欠失またはエクソン21(L858R)置換型変異を有する前治療歴のない転移非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とし、多国籍、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照で行ったRELAY試験(NCT02411448)で有効性を評価した。449人の患者をエルロチニブ150mgの1日1回の経口投与と併用して、ラムシルマブ10mg/kgまたはプラセボを2週間ごとに点滴静注する群に1:1に無作為に割り付け、疾患進行または許容不能な毒性が認められるまで投与した。

主要有効性評価項目は、RECIST 1.1により治験責任医師が評価した無増悪生存期間(PFS)とした。その他の有効性評価項目は、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)とした。PFS中央値は、ラムシルマブ+エルロチニブ群で19.4カ月、プラセボ+エルロチニブ群で12.4カ月であった(ハザード比[HR] 0.59、95%信頼区間[CI] 0.46~0.76、p<0.0001)。

奏効率(ORR)はラムシルマブ+エルロチニブ群で76%、プラセボ+エルロチニブ群で75%で、奏効期間(DoR)中央値はそれぞれ18.0カ月、11.1カ月であった。無増悪生存期間(PFS)の最終解析時点では、OSデータは最終解析に必要な死亡例は26%にとどまっており、評価に至らなかった(HR 0.83;95%CI:0.53, 1.30)。

最もよくみられた副作用は、感染症、高血圧、口内炎、蛋白尿、脱毛症、鼻血、末梢性浮腫であり、ラムシルマブ+エルロチニブ群の20%以上に観察され、プラセボ+エルロチニブ群と比較して2%以上高い割合でみられた。最もよくみられた臨床検査値異常は、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇、貧血、血小板減少、好中球減少、アルカリホスファターゼ上昇、ならびに低カリウム血症であり、発症率が20%以上かつ両群間の差が2%以上であった。

転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対してエルロチニブと併用投与するラムシルマブの推奨用量は、2週間毎に10mg/kgである。

CYRAMZAの全処方情報はこちらを参照。(*参考:日本語のサイラムザの添付文書はこちらを参照)

本審査には、FDAの評価を円滑に進めるために、申請者が自発的に申請を行う Assessment Aidが使用された。

翻訳担当者 大倉綾子

監修 廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等の画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がんの早期緩和治療で遠隔医療と対面ケアの有効性は同等

ASCOの見解(引用)「進行非小細胞肺がん患者において、早期の緩和ケアは生存期間を含む患者の転帰を改善することが研究で示されています。この大規模ランダム化試験で、遠隔医療による...
【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長にの画像

【ASCO2024年次総会】進行肺がん(NSCLC)、ロルラチニブで無増悪生存期間が最長に

ASCOの見解(引用)「これらの長期データの結果は並外れて良く、この研究でALK陽性非小細胞肺がん患者に対する一次治療薬としてのロルラチニブ(販売名:ローブレナ)の優れた持続的...
【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性の画像

【ASCO2024年次総会】オシメルチニブは局所進行EGFR変異NSCLCの標準治療を変える可能性

ASCOの見解(引用)「LAURA試験は、切除不能なステージIII疾患におけるEGFR標的療法の役割を明確にした最初の試験である。本試験ではオシメルチニブと現在の標準治療である...
周術期ニボルマブ+化学療法が肺がんの転帰を改善の画像

周術期ニボルマブ+化学療法が肺がんの転帰を改善

周術期におけるニボルマブ+化学療法併用により、化学療法単独と比較して疾患の再発、進行、または死亡の確率が有意に低下することが第3相試験で明らかに

テキサス大学MDアンダーソンがんセンター...