FDAがALK陽性の転移非小細胞肺がんにブリガチニブを承認
2020年5月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、FDAが承認した診断薬により未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性が検出された転移非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対するブリガチニブ(販売名:ALUNBRIG、ARIAD Pharmaceuticals Inc.社)を承認した。
また、本日、FDAはブリガチニブに対応するコンパニオン診断薬として、Vysis ALK Break Apart FISHプローブキット(Abbott Molecular, Inc.社)を承認した。
有効性は、これまでにALK標的療法による治療歴のない進行ALK陽性の成人NSCLC患者を対象として、ALTA 1L試験(登録番号NCT02737501)、多施設共同無作為化(1:1)非盲検試験で評価された。この試験では、地域の標準治療検査でALK遺伝子再構成を有する患者を対象とした。本試験では患者275人を、ブリガチニブを1日1回180mg(7日間の導入期には90mg)経口投与される群(n=137)、クリゾチニブ250mgを1日2回経口投与される群(n=138)のいずれかに無作為に割り付けた。また、臨床検体の一部を用いて、コンパニオン診断薬Vysis ALK Break Apart FISH プローブキットを後ろ向き研究として評価した。登録された患者のうち、コンパニオン診断薬Vysisにより239人が陽性の結果を得た(その他の参加者については、20人が陰性、16人は検査不能であった)。
主要有効性評価項目は、RECIST 1.1に準拠して盲検独立判定委員会(BIRC)で評価された無増悪生存期間(PFS)であった。また、BIRCで評価された副次的有効性評価項目は、全奏効率(ORR)であった。
ブリガチニブ投与群の推定PFS中央値は24カ月(95%信頼区間[CI]:18.5、推定不能[NE])であったのに対し、クリゾチニブ投与群では11カ月(95%CI:9.2、12.9)であった(ハザード比[H] 0.49;95%CI:0.35、0.68;p<.0001)。確定ORRはそれぞれ74%(95%CI:66、81)、62%(95%CI:53、70)であった。
ブリガチニブで最も多かった有害事象(25%以上)は、下痢、疲労、吐き気、発疹、咳、筋肉痛、頭痛、高血圧、嘔吐、呼吸困難であった。
ブリガチニブの推奨用量は、最初の 7 日間は 90mg を 1 日 1 回経口投与し、その後は 180mg を 1 日 1 回経口投与する。ブリガチニブは、食事と一緒に服用することも、食事なしで服用することもできる。
ALUNBRIGの全処方情報は、こちらを参照。
本審査では、FDAの評価を容易にするために、申請者が任意で提出したAssessment Aidを使用した。
本申請は優先審査に指定された。ブリガチニブはまた、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けた。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤」(Guidance for Industry:Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。
原文掲載日
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
肺がん患者は病気や治療を肯定的に捉えると転帰が改善する可能性
2024年12月21日
欧州臨床腫瘍学会(ESMOアジア2024)ハイライト
2024年12月20日
米FDAが、非小細胞肺がんと膵臓腺がんにzenocutuzumab-zbcoを迅速承認
2024年12月17日
STK11/KEAP1変異肺がんに免疫療法薬2剤+化学療法が有効
2024年11月18日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、腫瘍抑制遺伝子であるSTK11/KEAP1に...